| 2009年7月2日(木) |
| 第333回 |
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今年は日程上、7月の第二土曜日に当たる11日を中心に全国でほぼ一斉に地区大会がスタートする形になるので、試合の選定が大変だ。とくに、その翌週がどこもかしこも2〜3〜4回戦と佳境に入っていくところで、ここで怒涛のように日程が消化されていく。ここも行かなくては、あそこも顔を出さなくては、などと思っているうちにどんどんと大会が進んでいってしまうことになる。ちょっと、東京を離れてどこかへ行っていて、帰ってきてみたらもうベスト8になっているなどということになる。こうした慌しさもまた、この時期の楽しさなのかもしれないのだけれど…。
6月20日(土)
練習試合 (市立川越グラウンド)
市立川越 104 041 300=14
神奈川工 000 004 001=5
神奈川工 000 420 000=6
市立川越 002 000 300=5
埼玉大会は丁度この前日に組合せが決まったところだった。昨年は、完全に試合を任せられる投手が3人もいて、安定した戦いぶりで春季大会で初優勝した市立川越だったが、夏は朝霞との延長15回引き分け再試合などもあって、4回戦で立教新座に足元をすくわれてしまった。そのポストイヤーとなった今年は、チーム力としてはやはり前年に比べて層が薄いのは否めない。「こういう年に限って(大会の)組合せはいいんだよな。弧去年がこれだったら戦いやすかったんだけれどなぁ」と、新井清司監督は今年の好クジを思わず変な形で嘆いていた。
とは言いつつも、何だかんだとチームを仕上げてきているのはさすがだ。神奈川工のエース格の吉垣君に対して、3回は丹羽君、矢田君と中軸以下で5連打して4点。このところ、やや故障者も多いということもあって打線が打てなかったというが、「あんな連打久しぶりに見たよ」と、新井監督も驚く集中打だった。これで流れをつかんで市立川越は試合を完全に自分たちのものとした。
逆に、神奈川工の西野幸雄監督は守りの消極的なミスもあってカリカリしていた。吉垣君も故障が癒えて、この日は打たれても何でも完投したいということで、投げ切った。投げ込んでいってリズムもつかんで終盤は独特のシンカーの切れも戻っていた。
また、2試合目は「いい素質の1年生が多く入ってきてくれたので、実戦を通じて育てていきたい」という西野監督が期待している榎本君が先発して6イニング投げた。3回には外野失策絡みで2点を失い、全体の線はまだ細いという印象は否めないものの、被安打4でしっかりとまとめた。上体を倒すようにして投げるが、リーチが長く肩も柔らかく、ストレートはいい感じで入ってきていた。変化球をもっとマスターしていけば面白い存在になりそうな投手だ。
市立川越では、3人目として投げた小柄な左腕岩田君が、自分のリズムをしっかりと保って好投した。
6月17日(水)
練習試合 (江戸川区球場)
小山台 100 001 100=3
紅葉川 000 000 000=0
春季東京都大会でベスト4に進出して、夏の東東京大会は第二シードとして四隅の一角で3回戦から登場といううけて立つ立場の小山台。グラウンドにも恵まれているわけではなく、しかも、進学校でもあり学校の規定で(大会前は多少の変動はあるものの)毎日午後5時には一斉下校を義務づけられており、練習時間もきわめて短い。そんな中で、一つの成果を出したということも評価されている。
その背景には、選手たちの高い意識がある。その一つの形として、「野球ノート」というものがあるが、これもその日あったことをノートに書いてそれを監督が見てチェックするというものではない。「ノートには、その日の練習で何を思ったのかという心を書くんです。それに対して、他の選手が自分の意見を書いて答えるというもので、選手同士で回していくのです。私は、それに対してほとんど何も書きません」と福嶋正信監督は、嬉しそうに語る。このことに代表されるように、選手の自主性を大事にしている。練習メニューについても、こうした選手の意識が優先されている。
そんな小山台と才野秀樹監督の熱心な指導の成果が近年現れてきている紅葉川の江戸川区球場を借りて、ナイターでの練習試合である。
小山台は、投手陣の調整具合を確かめるかのように、3人の投手がそれぞれ3イニングずつ投げて無失点。その力を十分に示した。右サイドの丸澤君は切れのいいスライダーと、開発中というシンカー気味の球を投げ分けていた。秋の1番、小林君はタテの変化を中心に、ストレートにに力がある。栃谷君は力投型でスピードもある。これに、春季大会でブレイクした高辻君はこの日は三塁手として出ていたが、故障が癒えて、復調の兆しだという。この4本柱の安定感はやはり素晴らしい。
打線も、小保方君、馬庭君を中心に力がある。とくに終盤の爆発力は定評がある。この日は、初回は小保方君の犠飛、6回には二塁打の石井君をバントで進め、4回から三塁に入っていた八番丸澤君の内野安打で加点。7回も石井君のタイムリー打で追加点している。
紅葉川としては、先発坂本君はやや乱丁気味で制球にも苦しんだが、二番手佐野君、三番手として一塁手からマウンドに立った龍君らは試合を作った。龍君は以前に比べてやや腕を下げたが、その分コントロールもよくなり左腕から切れのいいボールが行っていた。「5月から、今月頭頃までは最悪だったんですけれど、大量点を取られそうな場面でもこらえられるようになってきました」と、才野監督は投手の成長を評価していた。試合は、テンポよくいい雰囲気で流れていった。
今週のエンドメッセージ
全国で夏の大会地区大会の組合せがほぼ出揃ってきました。とくに、今年は一斉に11、12日から始まるという形になり、翌週には一気にピークを迎えるという状況になりそうです。
ボクも、どの会場へどのタイミングで足を運ぶのがいいのかと、組合せ表を見ながら日程調整に追われています。それでも、予定が雨でずれ込んだり、予測していたチームが思わぬ敗退で当てが外れているなど、始まってからの調整も大変です。
今年も、そういう時期になりました。
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| 2009年6月24日(水) |
| 第332回 |
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各地で競うように夏の大会の組み合わせが決まりだすと、いよいよ夏本番を迎えるのだなという気になれる。毎年のことなのだけれども、この時期は全国のどの学校にも甲子園出場の可能性があるときであり、さまざまな思いも交錯するのだろうけれど、モチベーションとしてはもっとも高まっているときなのだろうなと思う。選手たちや指導者の人たちはもちろん、ボクのような立場の人間にとっても、今の時期はもしかしたら、一番夢多きときなのかも知れないと思う。
6月13日(土)
練習試合 (府中工グラウンド)
大 島 211 003 000=7
府中工 001 201 211X=8
市立橘 000 120 330=9
大 島 021 000 000=3
府中工 000 201 040=7
市立橘 005 212 22X=14
大島は毎年、この時期を中心に船で遠征を計画している。とくに、近年は高速フェリーが開通したことで以前に比べるとかなり便利になったようだ。選手たちは、この遠征に備えてオフシーズンには植樹など、大島ならではのアルバイトで資金を貯めているという。
迎える府中工は、毎年夏休みには大島で合宿を組んでいる。大島で夏合宿を組むのは、府中工以外にも国立、広尾、東大和南、高輪など東京都の学校ではかなりの数になるのだが、これは東大和をかつて2度夏の決勝まで導いた実績のあった、故佐藤道輔先生(つい先日亡くなられました)が大島に赴任時代から始まったといってもいいものだ。こうした交流もまた、高校野球の魅力の一つともいえよう。大島は、三番の清瀬君が3回に左中間へ本塁打するなどで3安打。シュアな打撃振りを披露した。6回にも下位打線の3連打で好機を作り、藤田君のタイムリーなどで3点を挙げるなど、打線のつながりのよさを示していた。橘に対しては、スクイズで得点するなど細かい部分も示した。
府中工は四番の大澤君が絶好調で、この日も2試合で3本塁打。この前の週は長野遠征で、丸子修学館、上田西などを相手に4本塁打しており、6月に入ってこの段階で7本塁打。とくに、右翼への打球は飛距離もあるので、「大澤が大きいの打ったらヒヤッとしますよ。嬉しいんですけれども、飛び出すと心配もありますから」と、井上裕士監督や荒木幸雄部長も嬉しい悲鳴というか、一方で「道路へ飛び出していないか、隣の小学校は大丈夫か」という心配もあり、複雑な思いのようだ。
大澤君は大島の宮本君から4回に右中間へ大きなソロを放つと、7回は右犠飛で三塁打の丸山君を帰すなど、確実に仕事をしていた。そして、橘に対しては、試合そのものは内外野の守りのミスもあって大量点を許していたものの、4回にはソロ、8回には3ランをいずれも右翼頭上に大きく弧を描く感じで持っていった。この日、2試合で10打席9打数4安打3本塁打で6打点。主砲ぶりを示した。この日は投げなかったものの、速球派で投手もやるという。
この日は神奈川大会の組み合わせが決まる日でもあったが、春季県大会でベスト16入りして第3シード校となっている市立橘は、大会5日目に高津と座間の勝者との対戦と決まったという連絡が入った。この日はシード校らしく、府中工戦で好投した黒川君と羽深君の投手の安定ぶりや、好機に畳みかけられるように攻めていかれる打線の勢いも感じさせていた。黒川君は切れのいいスライダーを中心に投球を組み立てていた。
市立橘は今春までチームの指揮をとっていた藤田龍清監督が来春の異動を見越してこの夏の大会からは、コーチだった柏木孝一監督に交代した。しかし、着実な戦い方は変わっていなかった。
6月14日(日)
練習試合 (日大二グラウンド)
富士学苑 100 020 000=3
日 大 二 001 001 000=2
富士学苑 100 100 002=4
宇都宮南 100 000 000=1
宇都宮南 010 100 000=2
日 大 二 010 000 100=2 (引き分け)
昨夏、一昨年夏と連続で栃木大会準優勝の宇都宮南と西東京大会ベスト4の日大二に、今春の関東大会ベスト4の富士学苑という質の高い3校が西武新宿線玉川上水駅からほど近い日大二立川グラウンドに集合した。
なかでも富士学苑の元気のよさと、後藤篤監督の指導が行き届いているという印象の確かな野球が目についた。富士学苑の加藤君は日大二を6安打2失点に抑える完投。多少、球にばらつきはあったものの、ストレートの伸びは目を奪うものがあった。素材力としては非常に高い投手だけに、後藤監督の期待も大きいだけに、四球後に失策があっても、「オマエが四球を出して、守りのリズムを悪くしているんだろう。そういうことに気がつけ」と厳しい。関東大会でブレイクした左腕の山本君とともに2年生ということで、先も楽しみだ。
また、宇都宮南に対しては、渡邊雄君が最速138km/hの伸びのあるストレートを中心に5安打1失点で完投。走者を出しても併殺で打ち取れる上手さも見せた。それに、各選手の走塁が鮮やかだった。失敗もあったが、送りバントも確実に5回成功させている。こうした確実さと、スキを突いたら次の塁を狙っていくしたかさは、後藤監督の目指す野球ともいえよう。
とくに、一番の平井君のセンスと判断のよさは光る。「平井が出るか出ないかで、チームの得点力は全然違います」と言うが、2試合とも先頭打者として中前打して、初回に得点しているのはさすがといっていい。
東海大甲府、日本航空の評判が高い山梨ではあるが、この日のような野球を展開していかれれば一気に走る可能性も十分にあるのではないかと思わせるものがあった。
宇都宮南も派手さはないものの、チームとしては確かだった。終盤に長打を浴びて9回に2点を失ったものの、長島投手は打者によって手の出る位置を多少変えていくという工夫をした投げ方でコーナーを突いていく技巧派。また、日大二を7安打2失点に抑えた福澄君はストレートを中心に、球に伸びが感じされた。高めに甘く入ると左の石井君や熊井君に合わされていたので、このあたり左打者に対しての攻め方が課題だろう。9回は2死満塁で四番福嶋君という場面で一打サヨナラで見ごたえのあるシーンとなったが、中飛に抑え福澄君が投げ切った。篠崎淳監督は、「公立校でもありますし、限られた条件の中で選手層にも限界がありますから、個々が確実にやれることをやっていかないといけません」と、言うがそれがしっかりと反映されているといった印象だった。
攻守の軸となる窪寺君はじめ、故障者が多くてこの時期やや苦しい陣容の日大二だが、「これといった球があるわけではないんだけれど、何故か打たれない」と田中吉樹監督も不思議がる川原君と、気持を高めるために気合を表に出す左腕金澤君が、富士学苑に対しては何とか粘りの投球を示していた。宇都宮南には、左腕石井君と吉田直君に、三塁側へ倒れるようにして投げる変則の志礼田君とつないで巧みに交わした。エースに予定していた横山君が本調子になれない中で、それでも何とかまかなえているという感じでもある。
打線も窪寺君が不在で、打線は飛車抜きという印象ではあるものの、石井君や熊井君ら左打者が球を見極めて好打していた。福澄君に2本の二塁打を放った石井君は左へ右へ好打していた。今、バットが振れているという感じである。ただ、この試合は、結局最後の好機に福嶋君が打ち切れずドローとなった。
今週のエンドメッセージ
全国各地で組み合わせも決まってきて、いよいよ夏の大会モードが上がってきています。
それに先立つというか、実は都市対抗野球は今、地区大会が真っ盛りです。代表になって当然という企業チームは絶対に負けられない試合が続くだけに、それはそれで強烈なプレッシャーがあるようです。
ボクが仕事でお世話になっているHondaも先日、南関東第一代表を決めました。圧倒的な強さがあるとはいえ、安藤強監督以下、代表を決めたときは安堵の笑顔でした。
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| 2009年6月18日(木) |
| 第331回 |
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全日本大学選手権で北東北大学野球連盟代表の富士大が準優勝。富士大は花巻市にある学校なのだが、大学野球でも東北旋風である。しかも、またしても花巻というところに、ビックリだ。まさに、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ 雪ニモ 夏ノ暑サニモ負ケヌ」という忍耐もさることながら、それだけではなく、それぞれの現場での工夫や意欲的に取り組みの成果ともいえそうだ。
聖光学院、羽黒、酒田南、仙台育英、東北、光星学院に花巻東をはじめとした岩手勢。今年の東北は目が離せない。東北大会では、結局盛岡大附が優勝。岩手は花巻東だけではないぞという意地を示している。
6月6日(土)
春季東北地区大会 2回戦(福島信夫ヶ丘球場)
八戸西 103 200 001=7
花巻東 010 001 000=2
秋田中央 000 000 000=0
弘前聖愛 010 000 10X=2
光星学院 200 010 102=6
一関学院 000 000 000=0
朝からじとじとと雨が降っていたが、一度も中断することもなく予定通り試合が行われたのはよかった。ただ、もう一つの会場のあづまスタジアムは2時間遅れでプレーボールとなったという。
選抜準優勝で注目の花巻東は、エース菊池君を温存して2年生左腕吉田君が先発のマウンドに立った。何とか一泡吹かせたいと挑んでいく八戸西はいきなり先頭の田中洋君が二塁打して「いける」感触を得る。けん制悪送球で進み、二塁ゴロで先制した。花巻東も2回に吉田君の右越二塁打で同点とする。しかし、八戸西は元気がよかった。3回、1死一二塁から四番向君が右線へ二塁打して二者を迎え入れ、さらに野中君も右前タイムリー打してこの回3点。4回にも濱道君の安打などで好機を作り、猿川君の代わり端、二番古沢君が初球を狙い打って、さらに2点を加えた。
6回に九番山田君のタイムリーで1点を返されたものの、9回に中田君、向君の連続二塁打でダメ押しを加えて、濱道君が6安打に抑えて完投して逃げ切った。八戸西は日々の練習は2時間くらいだという。それでも榎本和彦監督は、「高校野球の場合1試合が大体2時間ですから、集中を維持するのには丁度いいんです」と、それをプラス方向へ考えている。
いきなり先頭の棟方君が三塁打した弘前聖愛、この回は無得点だったが、2回に七番大谷坂君の中越に塁打で先制。7回も失策絡みで追加点を奪い、これをエースで四番の成田君が、スピードこそあまりないものの球の力がある高目のストレートとタテのカーブを中心に力投して守りきった。7安打完封は見事といっていい。弘前聖愛はベンチも元気がよかったが、原田一範監督は、「花巻東さんのベンチのムードを目標にしようと意識をしてやっています」と、ムード作りに意欲的だった。
秋田中央はいいところなく破れてしまった。「手を出すなという球に手を出してしまって…、まだまだです」と、桑原康成監督は残念がった。
青森と岩手の力のある両校の対戦は、青森1位の光星学院が注目のエース下沖君の140km/hのストレートを中心としたテンポのいい試合運びで、一関学院を4安打完封。無理に三振を取りにいこうという投球ではないものの、10奪三振、コントロールもよかった。七番に入った打撃でも4安打。得点にこそ絡まなかったが、投打の軸ぶりを示した。「以前は、下沖に負担が大きすぎたかもしれんけど、下位になって楽になったんやと思います。チームとしては、県大会はあまりよくなかったんで気合を入れ直してこの大会に挑みました。夏へ向けてあるべき姿が見えてきたというところやな」と金沢成奉監督は、例によってソフトな関西弁で、冷静に分析していた。そして、「強いといわれている聖光学院とやりたかった」と、早くも次を見据えていた。
光星学院は初回、1死二塁から四番に入っている小野寺君が右中間を破る二塁打を放ち、2点を先制。5回にも、2死二塁から三番松村君の中前タイムリーで加点。バントを失敗しても直後に二盗を決てタイムリーが出るというあたりはさすがだ。7回は右犠飛、9回は二番多治見君の右中間ソロと小野寺君の左前タイムリー。三番四番で五打点というところにもソツのなさが感じられる。
一関学院の繰り出した3投手も決して悪くはなかった。力強い阿部君、185cmで過度のある菊池君、切れ味のある飯田君とそれぞれ持ち味を出してはいたが、そこからそれぞれ得点を挙げた光星学院打線の確かさを評価すべきであろう。
それにしても、この日は3試合に登場した青森県勢がいずれも勝利。東奥日報やデイリー東北など地元紙の記者たちも、「明日はどっち(あづま球場か信夫ヶ丘か)でしたっけ」などと言いながら、忙しそうに走り回っていた。
6月7日(日)
練習試合 (飯能南グラウンド)
飯能南 000 110 000=2
韮 崎 011 010 01X=4
韮 崎 000 003 300=6
飯能南 100 225 00X=10
東北大会から帰ってきた翌日、東北に負けない緑のきれいな飯能に足を運んだ。西武池袋線の元加治で下車して、迫り来る新緑の山を仰ぎながら、15分ほど歩いて、飯能南へ向かったが、まさに『男はつらいよ』の寅さんのように歩いていた。言うならば、「野球寅さん」だ。
クラブ活動の盛んな飯能南は、グラウンドも広いが日曜日でもほとんどの部が活動をしていて活気がある。サッカー部やバスケットボール部も練習試合を組んでおり、多くの学校が入り乱れていた。こういう光景に浸ると、自分も30年以上も昔の青春へ戻れるようで何だか嬉しい。
韮崎はサッカーの強豪であの中田英寿の出身校としても知られているのだが、昨秋は野球部もベスト8に進出している。その原動力となった根岸君と中村君が投げた試合は、引き締まっていた。根岸君はスライダーを中心にコントロールもいい。中村君はダイナミックに力で抑えられる。この投手の持ち味を引き出したのが丸茂捕手で、リードもよく捕ってからの送球も早い。清水壽仁監督もその丸茂君には目を細める。「リードのコツや低い球を後ろへそらさない練習もよくやってくれて、去年から今年で大きく成長してくれました」。
打っても、四番の丸茂君の二塁だから好機を作った韮崎は中村君のタイムリー打で先制。3回にも失策絡みで加点。そして、8回には投手から外野手に回って打撃に専念した根岸君が左翼へ本塁打。打撃センスのよさを示した。
6月に入って校内強化合宿中の飯能南は選手の疲労もピークになっているのも確かだ。それでも、「同じ相手に連敗はよくないですよ。だから、二つ目は勝ちにいきました」と言う北能徳監督は、完敗となった1試合目後のミーティングでは、あえて厳しく選手を叱責し、気持ちを前面に出していくことを強調した。それが反映されて、下内君が粘りの投球。バックやベンチからも、「頑張れ下内! 踏ん張れ!下内」と、四球と重盗の送球失策などで崩れそうになりそうな場面で励ましあっていった。そして、8回は持ち直して、3者を三振で切ったのは立派だった。
急造捕手だという高山君も、「絶対に後ろへそらさないぞ」という意識をプレーでも示していた。
韮崎は、1試合目の課題として露呈した消極的なベースランニングに対して、2試合目では積極的に挑戦。今の時期の練習試合としては、課題を見つけてトライして修正していくということが大事なのだが、夏へ向けての準備としては、一つずつ前へ進んでいるという感じだった。
今週のエンドメッセージ
神奈川と千葉で組み合わせが決まりました。引き続き17日の群馬、19日の埼玉、翌日の東西東京と関東一円で組み合わせが決まっていきます。並行して、高校野球専門誌の夏の大会展望号が刊行されていきます。
こうして、徐々に夏の大会モードが上がっていく今の時期は、やっぱり毎年一番ワクワクする季節ともいえます。
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| 2009年6月10日(水) |
| 第330回 |
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高校野球には、当事者である学校関係者や指導者だけではなく、さまざまな人たちが関わっている。何十年も見続けているという熱心に見守る野球オヤジたちも、高校野球を支えている大事な人たちだ。また、私たちのようにさまざまな形で高校野球を伝ようとする立場の者も、やはり何らかの形で関わっているともいえるのだ。それにしても、そういう人たちの情報ネットワークの緻密さには驚かされる。どうやってこの情報を得たのだろうというくらいに、人が集まってくるのだ。それにも驚かされる。
5月30日(土)
練習試合(ベイスターズ長浦練習場)
花巻東 030 100 100=5
横 浜 000 100 200=3
横 浜 100 000 000=1
花巻東 000 000 000=0
選抜準優勝、しかも注目の左腕菊池君がいるということで、常に注目を浴びる存在となった花巻東。その関東遠征があるという情報はあっという間にファンの間に駆け巡ったが、実は会場が横浜の長浜グラウンドから急遽横須賀市長浦にあるベイスターズのファームグラウンドに変更になった。これは、プロのスカウトも多く訪れるだろろうから、ネット裏に多くが陣取れる場所として変更されたということだ。それにしても、そこにスカウト日米10球団ほどはもちろん、大学関係者やメディア関係に、いつもの野球オヤジなど多くの人が集まっていた。
そんな衆人環視の中で、菊池君は6イニングを楽しむかのようにスイスイと投げた。この日の最速は146km/h(某スカウトのスピードガンによる)を表示したが、それにタテの変化球も大きく、6奪三振で失点1。ただし、この1失点が筒香君の右翼への特大本塁打だった。つい前日までは熱があったという筒香君だったが、力が抜けたのかスムーズに振り切った見事な一発だった。この対決には、スカウトも「いいもの見せてもらったね」と舌を巻いていた。ただし、筒香君は体調も考慮してこの後は退いた。
試合は花巻東が、2回2死一塁から七番千葉君が中前打し、さらに四球で満塁。ここで九番山田君が右中間を破る一掃の二塁打。右サイドからポンポンと投げてくる中岡君を巧みに攻略した。花巻東は4回にも菊池君のタイムリーで1点を加えた。八番に入っている菊池君は甲子園でもそうだったが、ここというところでしぶとく打ってくる。横浜も、ここで中岡君を諦めて楠美君につなぐという公式戦並みの継投だった。
7回からは三塁を守っていた猿川君が菊池君のあとを継いだが、彼も力はある。押し出しで1点は失ったものの、力は示した。また、二番佐藤涼君のバットを短く持って粘る姿も相手に対してのプレッシャーは十分だった。
連敗は阻止したいという横浜は、2試合目は松元君が94mの右翼ぎりぎりに放り込んだ先頭打者本塁打で先制するが結局、この1点のみという試合になった。横浜は水澤君が2安打、四死球3に抑える好投で完封。スライダーのコントロールがよく、低めにしっかりと決まっていた。一方花巻東は、1年生杉田君から、渡辺君につなぎ、3人目の吉田陵君がよく投げた。181cm71kg、佐々木洋監督の期待も大きい2年生左腕だ。ときに、菊池君張りに「うぉーっ!」と声をあげるシーンもあった。
花巻東は各選手、内野ゴロで凡退しても一塁を駆け抜け外野の芝に至るくらいまで全力疾走して行く姿勢が印象的だった。翌日は、東海大相模のグラウンドへ向かうことになっている。
6月5日(金)
春季東北地区大会 1回戦・2回戦(福島信夫ヶ丘球場)
大 館 工 000 000 000=0
日大山形 013 000 00X=4
盛岡大附 000 051 010=7
東 北 010 001 000=2
今年の高校野球は東北が熱い。花巻東の準優勝で、「自分たちもやればできる」ということで、一気に意識が上がっていったことも確かであろう。好投手も多く、それを打たなくては上へ行けないという気持ちもあるので、質が高くなっていく。また、花巻東が甲子園で見せた、全力で駆け抜けていく姿とベンチが一体になった戦い方は各校にも好影響を与えているようだ。
そんな東北大会は、天候は芳しくなかったものの曇天を突いて熱く開幕した。途中じとじとと降ってくることもあったが中断するほどではなかったのはよかった。
山形県3位の日大山形は佐藤雄君がテンポよく投げ込んでいた。ストレートが走り、スライダーのキレもよかったが決め球としているナックルも効果的だった。「ミスも多い試合でしたが、よく勝てたのは、佐藤雄がよく投げたからです」と荒木準也監督も4安打完封の佐藤雄君の好投は称えた。
日大山形は2回に佐藤雄君の左中間二塁打で先制。3回にも、右前打の安孫子君がバントで進み、池田君が右中間を破って迎え入れる。さらに、2四球後六番芳賀君の中越二塁打で追加して主導権を握りそのまま逃げ切った。
初めての東北大会となった大館工は、もう一つ自分たちのプレーをしきれなかった。岩谷裕士監督も、「野球の質が違いました。投手はもっとキレのいいボールを投げなくてはいけませんし、日大山形さんの選手個々の対応能力の高さに驚きました」と完全に脱帽だった。
岩手県3位の盛岡大附が宮城県1位の東北に快勝した。これも岩手県内での花巻東効果かも知れない。盛大附の関口清治監督も、「本当だったら、今年のチーム力だったら県1位でもいいと思っているんですが、もっと厚い壁が一枚、二枚とありますから」と花巻東と一関学院の層の厚さを認めている。しかし、この試合での盛大附は鮮やかだった。1点を追う5回、四球に安打とバントも含めて無死満塁を作ると、1死後代打白石君が三遊間を破る2点タイムリーで逆転。さらに二番手として登場した清原君の初球を川村君が叩いて中前タイムリー。続く熊谷君も左中間を破る二塁打でこの回5点とビッグイニングを作った。「今年は好投手が多いですから、そんなにチャンスは作れないと思っています。だかけど1試合に一度か二度はチャンスがあると思いますので、そこで一気にいけるようにという攻撃です。代打白石は当てるのが上手いですから思い切って、ラン&ヒットを仕掛けましたが上手く決まりました」と関口監督は集中力を強調した。
チームの大黒柱となるエースで四番の伊東君は、この日は投球に専念という形になったが、東北打線を4安打に抑えたのは大いなる自信になるだろう。とくに、三番国島君には3安打されたものの、他はほぼ完璧に抑えていた。
今週のエンドメッセージ
9日から大学野球選手権が東京ドームと神宮で開催されました。梅雨時の大会なので順延が悩みの種だったようですが、ドームを使用するようになって、だいぶ緩和されてきました。そうですよね、一応、読売新聞社が主催会社となっているのですから…。
14日には神奈川大会の組み合わせが決まりますが、それからはアマチュア野球は高校野球モードに突入して行きます。
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| 2009年6月3日(水) |
| 第329回 |
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6月になって梅雨に入ると、土曜、日曜の練習試合が雨で流れるケースが増えてくるだろう。夏を目指す各校では、一番ハードに追い込んでいく時期でもある。雨がいい休養となるケースと、実戦の場で試そうとおもっている機会がなくなることもある。天候だけはどうしようもないのだけれど、どう対応し、どう気持ちを切り替えていくのかも大切なことになるのだろう。
それにしても、新型インフルエンザで近畿大会が結局中止になってしまったことは、残念でならない。
5月23日(土)
春季山形県大会 準決勝(新庄市民球場)
日大山形 000 000 000=0
酒 田 南 001 020 00X=3
鶴岡東 102 000 001=4
羽 黒 001 201 01X=5
別名「あじさいスタジアム」といわれているという新庄市民球場。新庄駅から、歩いても行ける距離にあるのは、地方球場としては有難い。それでも、見えていながらなかなかたどり着かないのは、地方の特徴でもある。スカッと晴れた状態でもなく、何となく雲がかかっていて、雨も降りそうな天候は、「あじさいスタジアム」にふさわしいのかななどと思いながら向かった。
山形県の勢力図は近年、圧倒的に私学が強くなり、2強とも3強、4強ともいわれる。いずれにしても、その筆頭格が酒田南でそれに伝統校の日大山形と新鋭の羽黒が絡み、さらには鶴岡東と東海大山形、九里学園などの台頭もある。
この春もそんな顔ぶれとなっているが、やはり酒田南は安定していた。県内一の左腕という評価の安井君は8安打されながらも完封。奪った三振は9だったが、必ずしも好調というものではなかった。それでもしっかりとまとめるあたりに投手としての上手さが感じられる。球種としては、140km/h前後のストレートがメインではあるものの、フォークとチェンジアップを巧みに使って空振りが取れる。打者の右左によって使い分けているあたりも上手い。この大会では打者としても四番には入っているが、「目立ちたがりの子で、オレがオレがというところがありすぎたのですが、この春になって心の成長は大きいです」と、西原忠善監督は技術面よりも精神面の成長を評価していた。
3回、酒田南は2死一塁から佐藤敦君が一二塁間を強いゴロで破るが、これを右翼手がグラブに当ててはじいてしまい一塁走者が一気にホームインして先制。5回にも、二番奥野君の中前タイムリー打と佐藤敦君の左線へ落とす二塁打で加点。安井君の投球からしても、3点はほぼセーフティーリードとなる。それでも、酒田南は五十嵐君と三浦君という中軸をケガで欠いているというのだから層は厚い。
日大山形の佐藤雄君は、低目を球を集めバント処理も早かったが、味方の援護がなかった。
強いといわれながらもこの大会は延長戦や1点差試合の続いている羽黒。この試合も、先制を許し、リードを広げられたのを追いつき、逆転しながら追い上げられて1点差というものだった。それでも、横田謙人監督は攻撃力には自身をもっているだけに、「この大会では、水口がエース球の働きをして成長してくれたのが大きい」と夏の戦いを見据えながら、投手陣の幅が出たことを喜んでいた。
本来のエース佐藤壮君がまだ投げられない状況下で、先発のオリヴェイラ君は力みもあって、初回いきなり太田拓君に三塁打されると、四番本間友君の適時打で先制を許す。鶴岡東は3回にも2死から石塚君の三塁打に、榎本君、依岡君の連打で2点。オリヴェイラ君の投球のムラをついた。羽黒は4回から水口君がリリーフのマウンドに立って踏ん張った。
羽黒は3回に1点を返すと、4回はその水口君が同点打を放つ。さらに、6回に松本君の左中間打で逆転する。松本君は8回にも2死一塁で右へ三塁打して追加点を入れる。結果としてこの1点が貴重なものとなった。
5月24日(日)
春季福島県大会 準決勝(いわきグリーンスタジアム)
白 河 001 021 113=9
光 南 000 210 001=4
郡 山 商 000 000 000=0
聖光学院 300 200 03X=8
JR常磐線の湯本駅で下車。温泉街だが、グリーンスタジアムはどこかと駅員に聞いたら、「歩ぐ人はほどんどいねだろ」と言われてしまったので、バスがあるのかと聞いたら一言「ない」。仕方なく、タクシーを利用した。まるでゴルフ場へ行っているみたいな感じで、21世紀の森講演というところに到着。いきなりドカンと3万人も収容出来るというスタジアムが存在していた。それにしても、「こんなどごろに、こんなでかい球場造って、どんだけ来るんだべ」という感じである。
近年、福島県の公立校では安定して上位に食い込んでいる白河。箭内寿之監督は、「聖光学院が甲子園でいい野球をして、福島県のレベルを上げてくれています。しかし、その聖光学院を倒さなくては甲子園へはいけないのですから、私たちはより高い質の野球をやっていかなくてはいけないんです」と、上を見つめた指導方針だ。今年はエースで四番の千葉君がおり、その期待も強い。この試合では、千葉君は右翼手として出ていたが、5回には見事に100mの右翼スタンドへ2ランを打ち込んだ。さらに6回、四球の走者をおいて七番深谷君とのエンドランが決まり、二塁打でそのまま一塁走者がホームイン。アグレッシブルな走塁が効果的だった。7回にも、失策の走者を長谷川君の中前タイムリーで返す。さらに、9回にも3人目柏村君に対して佐久間君のやや幸運な二塁打などで3点を追加した。
白河の鈴木純平君は最速132km/hのストレートが武器だが、球の威力はスピード以上の力が感じられた。後半は完全に立ち直って。箭内監督も「千葉と二本柱に出来る」と自信を得たようだ。
光南は先発の芳賀君が緩い球を巧みに使いながら健闘したものの、二巡目以降はつかまってしまった。
昨夏の決勝戦の再現となった試合は、聖光学院が初回に2死から石川君の右前打と捕逸、失策で先制。さらに、四球後斎藤智也監督の長男・斎藤寛君が右線二塁打して二者を迎え入れる。「ゲーム経験があまりないんで、気負いがあったけれど、外も内もさばけるヤツなのでバットはよく出ています」と、3安打したということもあって、さすがに今日は褒めていた。
追加点は4回にスクイズと一番斉藤晃君の中越三塁打で2点。斉藤晃君は長打力もあるリードオフマンで、チームを引っ張っていた。先制、中押し、ダメ押しという好パターンの聖光学院は8回にも斎藤寛君、阿曾君の連打などで3点を追加した。
郡山商は結果としては完敗ということになったが、エース佐藤紀君をあえて使わなかったのはもちろん夏を見据えてということであろう。先発増子君が立ち上がりに掴まって、相馬伸介監督のゲームプランは崩れたということであろう。
今週のエンドメッセージ
結局、新型インフルエンザの影響で近畿大会は中止となってしまいました。先週末は天気はあまりよくなかったのですが、花巻東が関東遠征ということで、そっちに足を運んだのですが、急遽会場が変更になったにもかかわらず、横浜との試合には菊池君見たさに、スカウトやスポーツ新聞も何社かつめかけていました。驚くべき情報の早さです。
ネット含めて、情報氾濫時代だからこそ、マスコミの端くれで仕事をさせてもらっている我々のような立場の者も、表現やメッセージ一つにしても神経を使わなくてはいけないなと、自戒しています。
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| 2009年5月30日(土) |
| 第328回 |
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新型インフルエンザの影響が各方面に出ており、さまざまな部活動の現場で大会の中止、延期など影響がでている。高校野球でも近畿大会が延期になるなど現実にスケジュール調整などに混乱をきたしている。ただ、高校スポーツを支援する立場としては、こういったことで、部活動の現場が混乱することが残念でならない。
5月19日(火)
春季関東地区大会 準決勝(上毛新聞敷島球場)
帝 京 000 000 100=1
浦和学院 100 001 01]=3
常総学院 300 111 100 2=9
富士学苑 300 000 013 0=7 (延長10回)
昨年秋の県大会は初戦で敗退したこともあって、今年の浦和学院は強くないという評判が立っていたが、こうして大会を通じてチームを作り上げていくあたりはさすがである。「今年は、今の時期からあえて1年生を使わなくてはいけないくらいに戦力は低いんです」と言う森士監督だが、この試合でも、中島君→羽倉君→萩原君と3人の投手を巧みにつないで帝京打線をかわしていった。「継投は最初から予定していたことです。本当は4人つなごうと思っていたくらいです。それにしても、勝ちに不思議の勝ちありでした」と、野村克也監督の名言を持ち出して、帝京の失策を巧みに突いての辛勝を振り返っていた。
先制こそ連打で奪ったが、6回と8回はいずれも帝京外野陣の思わぬ落球で追加点が入った。その前に、走塁ミスなどもあって本来ならば流れが変わってもおかしくない展開だっただけに、「不思議の勝ち」だったのだろう。
帝京としては、三番手として投げた1年生の伊藤祐君が失策で失点こそしたものの、前田三夫監督としては評価に値するものだったようだ。それにしても、前日の全員14安打14得点の5回コールドゲームから一転、浦和学院投手陣を打ち切れず4安打1点のみ。前田監督は、「小技をもっと身につけないとね。今日は反省が多いね。ウチの一番よくないところが出た」とチャンスをつかみかけたところでのバント失敗などを悔いていた。
常総学院は何とか延長で勝つには勝ったものの、木内幸男監督は4点のリードを8回、9回にミスで追いつかれた展開に不満だった。帰りしなには、「だからいつも言ってんだろ。親がしっかりしてねっからこんなことになるって…、夏じゃなくてよかったよ本当に。夏だったら、負けてるよ」と、父母にまで当たっていた。
もっとも、敗れたとはいえ試合を諦めなかった富士学苑の粘りを評価してもいいだろう。4点を追う富士学苑は8回に二塁打の鈴木一君を内野ゴロで進めて、九番近藤君のタイムリー打で返す。さらに9回には西村君、奥脇君の連打で8回からマウンドを踏んでいた寺澤君をセンターへ戻させ、再びエース小熊君を引っ張り出す。1死後、失策で満塁とすると内野ゴロで1点を返す。あと一人という局面で、5回から代打で入っていた鈴木一君が前の打席に続いて気持ちで打った中前打で同点とした。
しかし、さすがに常総学院も10回に1死から七番に入っていた和田君が中前打すると、初打席の国井君が左中間三塁打して突き放す。さらに、川島君のスクイズもバント安打となってこの回2点。遠回りして常総は何とか勝ちにたどり着いた。
富士学苑としては、後藤篤監督のモットーとしてチームデザインにもしてTシャツにもプリントしているブルドッグの「最後まで諦めない」という姿勢を十分に示した。しかし、後藤監督は、「追いついても最終的には競り負けたっちゅうことは、まだ何かが足らんちゅうことだと思います。ただ、急遽リリーフした山本は、ちゅっと準備不足だったかな」と、10回同点となって急ぎマウンドに立ったエースの左腕山本君がすぐに掴まったことはかばっていた。
5月22日(金)
春季秋田県大会 2回戦(秋田八橋球場)
大 曲 000 100 0=1
秋田商 200 305 X=10 (7回コールドゲーム)
大館鳳鳴 000 000 10=1
明 桜 500 010 02X=8 (8回コールドゲーム)
横 手 001 121 15=11
由 利 031 000 00=4 (8回コールドゲーム)
この週は、東北各県の大会が終盤となっており、日本海側から太平洋側へ、連日の野球観戦移動となった。
秋田県のメイン球場は、この八橋(やばせ)球場と、土崎港のほうにあるこまちスタジアムの二つだが、いくらか昭和の匂いのする八橋球場だが、場所も市内のメインストリートといってもいい竿灯通り沿いにあり、市庁舎や図書館、NHK支局などが近くにあり、比較的便利な場所に存在している。こまちスタジアムもそうだが、両翼100mもあったら、そんなに本塁打は出ないだろうなと思っていたら、秋田商の菅原君がいきなり2ラン。6回には一番麻生君も左翼へ2ランしてビックリした。
秋田商はこの二発が効いて、コールドゲームとした。左腕須田君が6回を自分のリズムで投げ、故障上がりで久しく登板していなかった松川君が一イニング投げた。ベテラン小野平監督から昨年の新チーム結成時に引き継いだ太田直監督は、ヤクルト石川雅規とバッテリーを組んでいた直系の教え子でもある。「まだ、バントとかサインを出すのは怖い部分もあるのですが、それで打たせたら今日はそれが上手くはまってしまいました」とは言うものの、6回にはスクイズなども決めており、秋田商らしい野球も披露した。
本塁打は続く、明桜も初回にいきなり2本放って度肝を抜いた。三番大塚君が右翼へ2ランすると、小番(こつがい)君が二塁打、大門君死球で一二塁となったあと、二木君が引っ張って右翼スタンドへ3ラン。この球場でこんなに本塁打が出るとは、いくらか驚かされた。
大館鳳鳴は昨夏の準優勝校で、先発金田君はそのマウンドも経験している。しかし、この日はいきなり立ち上がりに掴まってしまったという感じだった。
秋田経済大附から秋田経法大附となり、さらに一昨年から明桜となったが、これは系列大学がノースアジア大と校名変更したことによるものだ。明桜となってからはまだ甲子園出場はないが、田中亮監督も「時代が変わっていく中で、明桜という名前もアピールしていかないといけませんね」と言う。この日はあまりに幸先のいい試合だったが、その後は大館鳳鳴金田君の踏ん張りもあってやや尻すぼみ気味になってしまった。「1イニング2本塁打なんてあまりないので、ちょっと気が抜けてしまったのでしょうか」と、田中監督も苦笑していた。
県内一という評価の左腕二木君は小気味のいい左腕だが、4回を除く毎回の8安打を浴びつつも、何とか1失点で押さえたのは、悪いなりによく抑えたというところであろう。
立ち上がりのビッグイニングで、やや意気消沈しかかった大館鳳鳴だったが、中盤は立て直して、三安打した一番成田君など、元気のいいプレーを見せていた。振り返れば、いくらか力んで入った金田君の立ち上がりが悔やまれた。
県内一の激戦区の中央地区を制した由利の戦いにも注目が集まっていた。しかし、トリッキーな右サイドの鈴木雄君が二巡りくらいで横手打線に掴まると、一気に崩れてしまった。横手は、攻撃力ではかなりの力を感じさせた。
今週のエンドメッセージ
結局、近畿大会はインフルエンザを考慮して中止ということになってしまいました。京都両洋や向陽、一条といった比較的、珍しいところが名を連ねていただけに残念です。向陽は
かつて、戦前の最後に甲子園で2連覇を果たした海草中学です。戦死した嶋清一投手の伝説など、歴史を感じさせる学校です。近畿大会で見てみたかったというのが正直なところでした。そんなことも含めて、今回の中止は大いに残念でした。
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| 2009年5月23日(土) |
| 第327回 |
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新型インフルエンザの影響が、思わぬところに飛び火している。春季近畿大会が開催延期になるなど高校野球をはじめとしていくつかの高校スポーツ大会が、インフルエンザの影響で延期になったり、中止になったりしている。不況風だけでもたまらないなと思ってるのに、こんなことでまたまた高校スポーツに影響を及ぼすことが起きてしまうと、本当に残念でならない。
5月16日(土)
春季関東地区大会 1回戦・2回戦(伊勢崎市営球場)
埼 玉 栄 000 000 000=0
東京農大二 000 100 00]=1
宇都宮北 010 000 000=1
富士学苑 000 102 00]=3
農大二が多くの一般生徒を動員して統制のとれた応援で盛り上げるなどして、満員のスタンドはいいムードとなった。農大二はOB間の連携と結束も強く、こういう大会に出場すると非常に集まりがいいということだ。そんなこともあって、スタンドはぎっしりと埋まった。
そんな緊張感のあるムードの中、最少得点がそのまま決勝点となった。その1点は4回、三番鶴田君が中前打で出ると、1死後加藤君のバントで二塁へ進んだ後、竹内君のわずかな動作がボークとなり走者は三塁へ進む。ここで、埼玉栄細渕守男監督は芹沢君にスイッチするが、沼澤君が右前へポトリト落としてこれがタイムリー打となった。わずか1点、しかも微妙なボークのあとのポテンヒットだ。細渕監督は、「最小知ってんですから投手は責められません。こういう展開はウチの流れだったんですが、点が取れないということは、まだまだ指導不足なんでしょうか」と悔いた。
実際、竹内君も芹澤君も自分の投球をしたといっていいだろう。
1点を守りきった農大二は左腕加藤君が好投した。驚くような球威があるというものでもないが、コントロールよくコースを攻めてきた。投手はコントロールだということを改めて認識させるものだった。
2年連続の関東大会出場となった富士学苑が2回に先制を許しながらも4回に相手の失策絡みで同点、6回には4回その後の追加天気に併殺打した岩沢君が2死一二塁から左翼線へ痛打して2点タイムーを放ち逆転した。そして、左腕山本君は、体は決して大きくはないものの、リズムよく投げていき宇北打線に狙いを絞らせない投球術で、5安打1失点に抑えた。宇北は2回に先制し、仙波君もよく投げたものの、全体としてはやや淡白だったなという印象だった。
富士学苑は、「とにかくチームとしては、死球と失策がなかったのがよかったですね。これまで、それで崩れていくパターンが多かったもんですから」と、後藤篤監督が一番警戒していた自滅をしなかっただけに、いい形の試合だったということがいえよう。紫のスクールカラーのユニホームがきびきびとしており選手たちもよく動くのでいい感じで好印象を残してくれた。左袖口には「仏法僧」を示す3本線が光っていた。
5月17日(日)
春季関東地区大会 2回戦(高崎城南球場)
常総学院 030 001 000=4
高 崎 商 100 002 000=3
東京農大二 000 100 000=1
横 浜 000 001 03]=4
この日の東京の朝の天候からは、とても定時にプレーボールになるとは思えなかったのだが、群馬県の雨はさほどでもなく、10時にプレーボールされた。
今春のセンバツにも出場し好投手との評価も高い高崎商の渡辺君は初回三者凡退で抑え上々の立ち上がりてだった。その裏、高崎商は死球、バント、暴投、犠飛と無安打で先制して幸先のいいスタートだった。ところが、2回渡辺君が下位打線に掴まってしまった。1死後柿沼君が左前打すると田中優君の左越二塁打で同点。さらに、柴崎君の左前打で一三塁とすると、長谷川君が初球を叩いて左前へ2点タイムリー。6回も、2死二塁で途中から八番に入っていた川島君が右翼へ三塁打を放って加点した。
これで、試合の流れは常総学院のものになったのかと思いきや、その裏高崎商は河内君の三塁打と失策で1点差とした。しかし、あと1点が届かずそのまま常総学院が長谷川君から小熊君につないで逃げ切った。
渡辺君が安定しているだけに自信を持って挑んだ高崎商だったが、「序盤の失点がつまらない取られ方でした。初球を打たれるなど、やはり甘さがあったんだと思います。センバツに出させてもらって、この大会も県大会2位で出させてもらって、どこかハングリーさが欠けていたのでしょうか。この経験を次へ生かさなくてはいけませんね」と、住吉信篤監督は夏を見据えていた。
スコア上は4−1と快勝に見えるものの、横浜・渡辺元智監督は渋い表情で出てくるのは課題ばかりだった。「一つ間違えたら、ワンサイドでこっちがやられていてもおかしくない展開でしたよ。どうしてあんなプレーがでるかなという考えられないことがありすぎです。カウントを考えずに打つ、配球も勝負どころも間違っていました」と、1年時からマスクをかぶっていた小田捕手のリードに関しても厳しかった。それでも、好投した中岡君に関してはよく投げたと評価していた。横浜の投手としては珍しい右サイドハンドだが、渡辺監督ととしては、本当は完投は無理があるのだが仕方がなかったという判断である。
1−1で決勝打を放ったのは、課題を多く与えられたことになった小田君の二塁打で、さらに松元君が中越三塁打して2点を追加するところはさすがに横浜だと思わせるものだった。
先にリードしたのは農大二で、4回に敬遠を含めて1死満塁から沼澤君の右前打だった。ただし、その後にあと1本出せなかったところが結果的には響いた。左腕加藤君はいいリズムで自分の投球をし尽くした感じだった。6回には無死三塁から新井君の犠飛で同点となるものの、七回までは農大二のペースの試合だった。
今週のエンドメッセージ
群馬県で開催された関東大会では、さまざまな人にお会いしました。プロ野球のスカウトも多く姿を見せていましたが、実はスカウト活動で動いているのはプロ野球だけではありません。
大学野球関係者も、有望な高校野球選手を求めているのです。ただ、地方大学の場合は監督自らが動くということが多いようです。東海学生連盟に加盟の中部学院大の原克隆監督も姿を現していました。東海地区の選手だけではなく、関東、東北までも選手獲得には動くといいます。自身も東北福祉大出身ですから、東北地区にはネットワークも強いようです。そんな話も多くさせていただきました。
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| 2009年5月14日(木) |
| 第326回 |
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ゴールデンウィークも明けたこの時期、つい先月に緊張して気持ちで入学してきた1年生もようやく学校になれてきた頃だろう。チームによっては練習試合などでも早くも1年生を起用しているところもある。チーム諸事情あるのだろうが、これは新入生にとってのモチベーションも上がるが、上級生にとっての刺激にもなる。今の時代は、昔と違って新入部員は一日中声だけ出しているということはほとんどなくなった。時代とともに、高校野球そのものの多少ながら姿を変えつつあるようだ。とはいえ、その根底にあるものは変わっていないはずである。
5月3日(日)
春季千葉県大会 準決勝(千葉県スポーツセンター球場)
東海大望洋 002 010 103=7
袖ヶ浦 000 000 000=0
習 志 野 100 000 000 0=1
千葉明徳 000 001 000 1X=2 (延長10回)
東海大望洋の左腕真下君は投げ下ろす感じで、タテの変化と伸びのあるストレートで勝負するが、コントロールもよくポンポンと相手を追い込んでくる。8回を除く毎回の11三振奪取。それでも、相川敦志監督は、「実は昨日(木更津総合を完封)の疲れがとれていないので、あまりよくないんですよ。ただ、悪いなりによく投げてくれたのは収穫でした」と言っていたが、いいときだったらどんな投球をするのだろうかと思ってしまう。
打線も、一番田村君が出て、四番の中山君が返すという理想の形が3回、5回とあり、中山君は9回も1死二三塁から左中間三塁打して都合5打点。主砲としての役割を完璧に果たした。東海大望洋はこれで4年ぶりの関東大会。「ウチのようなところは、チームとしてはひとつずつステップアップしていくことが大事なんです。関東大会はそのご褒美だと思っています」と相川監督も素直に喜びを表現していた。
ステップアップしていくということでは、千葉明徳は初の関東大会進出で大きくステップアップした。しかも、センバツ帰りの伝統校習志野を下してのものだから見事である。7年前に宮内一成監督が就任した当時は存続も危ういくらいで、8人から始めたという。私学とはいえ決して恵まれた環境でもない中、地道な努力でここまで育ててきた。「他の有力校では声がかからなかったり、入れなかったりした子たちが、それでも野球をやりたいという気持ちでウチへきてくれています。そんな選手たちばかりでここまでやれたのは、やはり嬉しいです」と喜びを表している。宮内監督自身は東海大浦安出身で、甲子園で準優勝したチームの2年上の世代である。そんな強豪のエキスを少しずつ注ぎながら育て上げてきたチームだ。
先発の森君が2回直撃打球を受けて3回からは急遽実籾君がリリーフしたが、ゆっくりしたフォームから大きく曲がり落ちてくるカーブを主武器に、ときに思い切ったストレートの使い方が上手く、ストレートを速く見せるコツを知っている。8回は豊田君に二塁打されて無死二塁、一死三塁のピンチ。9回も1死後本山君に中前打されて力のある中軸を迎えるという場面だったが、二直併殺という幸運もあって踏ん張った。延長に入り10回は習志野打線を3人で抑えて流れを自分たちの方へ持ってきた。
その裏、千葉明徳は岩舘君が右前打で出るとバントで1死二塁。関口君はボテボテながら内野安打として一三塁。大網君は、「歩かされるかもしれないけれど、ストライクならば必ず打てる球しかこない」という宮内監督の暗示通り、三遊間を破るサヨナラ打を放った。
習志野は、初回に1死三塁から福田君の犠飛であっさりと先制。しかし、それ以降攻めあぐみ気がついたら術中にはまっていたという感じで、注目の山下君も無安打。飛球が4本、実籾君を攻略できなかった。
5月4日(祝)
春季埼玉県大会 準決勝(大宮公園球場)
武 南 000 000 000 0=0
埼玉栄 000 000 000 1X=1 (延長10回)
武蔵越生 000 000 000=0
浦和学院 000 020 00X=2
埼玉県の準決勝は投手戦が相次いだ。それを打てないと見るのか、投手がよかったからだと見るのか難しいところではあるが、恐らくその両方ということになるのだろう。ただ、一様に投手はよかった。
埼玉栄の竹内君は5回まで無安打に抑えていた。継投でここまできた埼玉栄としては返って投手交代に迷ったが細渕守男監督は、6回に安打されたことで7回に思い切って代打を遅れ芹沢君に繋ぐことができた。竹内君はタテの変化が持ち味で、カーブ、フォークにナックルも投げる。芹沢君は気合で投げる左腕だ。「打てないチームですから、こういう試合になるのはし方がないですが、投手は2人ともよく投げてくれました」と細渕監督は投手の踏ん張りを評価する。昨年秋から就任した細渕監督は、実は実業団の女子ソフトの監督経験が長い人なのだが、それだけにこういう辛抱戦には慣れているのかもしれない。
サヨナラとなった点は、結局2死二塁からゆるいゴロを処理して、内野手が軽く投げようとしたところで悪送球になってしまったというものだった。武南としてはやや悔いの残る最後となってしまったが、ここまでの進出は大健闘といってもいいだろう。
武南といえばサッカーが有名だが、「野球部も頑張っているんだ」ということをアピールするには十分だった。エースで四番、白井君が埼玉栄打線を5安打に抑えるなど頑張りが目立ったが、3安打ではやはり苦しかった。
今年は粒が小さい、例年に比べて迫力がないなどといわれつつも、ここまで残ってきた浦和学院はやはり県内の雄だ。七番には背番号19をつけた1年生の室町君が入っていたが、巧みなバットコントロールで2安打。やはり、浦学で春季大会で1年生から起用されるだけのことはある。その室町君が左前打で出た5回、盗塁で二塁へ進み2死から一番石田君の三塁強襲打で先制。さらに、二番山崎君も三遊間を破り、二塁へ進んでいた石田君を迎え入れ2点目。この2点をこの大会初先発で、森士監督も、「予想以上によかったので安心していた」という真島君から羽倉君とつないで完封して守りきった。
破れた武蔵越生だが、昨年に続いてベスト4進出は立派だ。今野君も歯切れのいい投球で、この日の4校の投手の中でも、もっとも安定した力のある投手といっていいかもしれない。武蔵越生はチームとしても確実に力をつけていき中堅校から上位常連校になりつつあるといっていいだろう。福田圭一監督も、あとは夏の実績が欲しいところである。
今週のエンドメッセージ
日本には野球文化が根っこにしっかりと育っていると感じるときがよくあります。先日、東都大学野球二部の試合を観戦にいったのですが、それなりに人が入っていました。スカウトを含め、さまざまな立場の人が観戦に訪れています。そんなときに、野球文化の浸透をしみじみと感じます。
そんな神宮第二球場のスタンドで一人、アナウンサー志望の学生でしょうか、ICレコーダーを手に実況練習をしている若者がいました。そういえば、ボクも学生時代、誰も読んではくれない観戦記やエッセイ、青春小説を書き続けていました。人は「馬鹿じゃないか」と思うかもしれませんが、この年になって、自分の思いを信じて、ひたすらやり続けることは大事なことなのかなとも思っています。
そういえばこの日、今春駒大を卒業して横浜スタジアムへ就職した大木香奈さんという女性があいさつに来てくれました。都立城東時代から野球への思いを貫いて、マネージャーとして頑張っている人でした。今の時代に、自分の思いを貫いて就職できることは素晴らしいことです。微力ながら応援していますから、がんんばって欲しいと思います。
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| 2009年5月8日(金) |
| 第325回 |
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ゴールデンウィーク、関東地方の高校野球は春季大会真っ盛りだ。この間に、群馬、茨城の準々決勝、神奈川、千葉、埼玉の準決勝を観戦した。スタンドの入りは、相変わらず神奈川県大会は大入りだった。また、昭和の日(4月29日)に行われた高崎城南球場の群馬県大会も多くの人が入っていた。改めて、高校野球の人気の高さを各地で実感していた。それにしても、神奈川県大会はよく人が入る。
4月30日(木)
春季茨城県大会 準々決勝(土浦市営球場)
下 妻 二 100 020 240=9
土浦湖北 020 001 500=8
牛 久 000 000 000=0
藤 代 010 000 01X=2
2〜3点の競り合いを予想した試合は、思いもかけぬ乱戦となり、センバツ帰りの下妻二が終盤で何とか試合をひっくり返して、しぶとさを見せ付けた。
7回、2点をリードされた土浦湖北が四球と失策絡みで好機を作り、二番影山君が中前打、高田君の左前打と中継ミスもあって2点が入り同点。さらに、五番松本君の右飛かと思った打球が幸運な二塁打となったり、スクイズや山田君のタイムリー打でこの回5点。これで、完全に土浦湖北に流れは傾いたかと思われた。
ところが8回、下妻二は2四球と安打で満塁として、代打飯村君の右犠飛、さらに2死二三塁から羽子田君が三塁線を破って同点。ボークとワイルドピッチで逆転し、これが決勝点となった。ここまで、お互いに「あれ? どうして?」というようなミスが出たのも確かだった。下妻二としても失策5は甲子園帰りのチームとしては、決して褒められたものではあるまい。
それでも、小菅勲監督は、とくにこの大会に関しては多くの選手に機会を与えるという思いもあり、夏までは選手を固定しないという考え方だ。一番仙波君などはそれに応えて第一打席で積極的に打ちに行き安打して、結果を出していた。ただ、投手陣としては先発野村君が制球に苦しみ、時野谷君が投げられる状態ではなく、エース格の坂入君がリリーフしたものの本来の巧みに打たせてとる投球になったのは最後だげたった。
また、土浦湖北も松本君、金子君らはストライクとボールがハッキリしてしまい、そこを下妻二の打線に掴まってしまった。
第2試合は一転して投手戦となった。牛久の左腕中川君と藤代の右サイド山崎君。タイプの異なる両投手が、共に持ち味を発揮した。エースで四番の中川君は低めに球を集めていくが、決して力で牛耳るというものでもない。走者を出しても慌てない。ここ一番というところでは三振を狙いにいける力もある。
山崎君はスライダーとスーッと抜いたシンカーのようなチェンジアップが効果的だ。結局、被安打5本の散発で、8奪三振。3試合連続完封となった。上手に打者に引っ掛けされる投球術はまさに上手いという表現がピッタリだった。
この投手戦は、2回の藤代のスクイズと8回、1死一三塁でここもスクイズを試みようとしたところで、中川君のスライダーが切れすぎた形でショートバウンドしてワイルドピッチになってしまった。スクイズと幸運な暴投の2点で勝った藤代だったが菊池一郎監督は、「本当はもっと打てるはずなんですが、左投手はあまり得意ではないんです。それでも、守りがしっかりしていますから、私の意図したチームにかなり近い形になっていると思います」と手ごたえを感じていた。藤代は秋に続いてのベスト4進出。菊池監督としても、前任の恩師持丸修一現専大松戸監督が築いた意図を引き継ぐ形となって4年目。バッテリーを中心にした守りのチームは着実に結果を出している。
5月2日(土)
春季神奈川県大会 準決勝(保土ヶ谷球場)
横浜商大高 000 021 000=3
桐 光 学 園 000 000 020=2
横 浜 011 031 001=7
横浜創学館 113 000 100=6
県内一番の安定感という評判だった桐光学園の東條大君だが、それ以上に横浜商大の寺田君が好投してて商大が1点差を逃げ切って関東進出を果たした。寺田君はタテのスライダーが外にピタリと決まるようにコントロールがよく、桐光学園打線も手が出なかった。8三振のうち5つが見逃しだったことにも、その制球のよさが窺われる。「あれは、手を出さなくてはいけないんでしょうが、手が出ませんでした。打ちの打者にまだ技術がないこともあるのかもしれませんが、それだけ寺田君の投球の切れがよかったということです」と野呂雅之監督もお手上げだった。それでも、8回に2死満塁から、代打の1年生菅原君が2点タイムリー打するあたりに桐光学園の質の高さが感じられる。
商大の得点は5回、吉濱君と九番古川君の安打などで1死一三塁として、ここで暴投で先制。さらに、二番鈴木秀君が右へ運ぶタイムリー打で2点目。6回には左打ちの寺田君が東條大君のスライダーを引き付けて右翼スタンドに放り込む本塁打で追加し、結果的にこれが決勝点となった。チームとしても、元気のよさがあって、皆で寺田君を守り立てて奪い取った勝利という感じだった。
昨夏の南神奈川大会決勝と同じ顔合わせの対決だったが、またしても横浜創学館は横浜の壁を破りきれなかった。とくに、3回、注目の長距離砲の圓垣内君がライナーで右中間へ叩き込んだ3ランは強烈だった。その前の回に、横浜の筒香君が右翼へ特大の本塁打を放っており、県内屈指の長距離打者の競演は見ごたえがあった。投手の出来云々というよりも、この2人のそれぞれの本塁打は、まさに神奈川県の高校野球を象徴するようにも感じられた。
もっととも、横浜創学館の森田誠一監督としては、「あの3ランだけで勝てるとは思っていませんでした。5点以上の取り合いにはなると思っていましたから、先発中嶋は5点までは引っ張ろうと思っていましたし、打線は早くそれ以上とらないといけないという戦い方でしたから、それが持ちこたえられなかったということです」と展開を読んでいた。それだけに、5回までに再び同点に追いついた横浜はさすがである。
同点となって横浜創学館は左腕森君を送り出したが、指の故障ですぐに降板。3人目の五木田君に託す形となった。また、横浜も先発叶君を早めに諦めざるを得なくなり、中岡君につないだが、右サイドの中岡君が踏ん張る形で横浜が9回にスクイズで決めて逃げ切った形となった。試合後、小倉清一郎部長は、「中岡があれだけよかったら、もっと早く行けばよかったんだろうけど、わからないからな」と言うが、誰かが出てくる層の厚さはやはり横浜の強さであろう。
勝敗の分岐点としては、1点を追いかける形となった横浜創学館の6回、無死一二塁で送りきれなかったところだった。猛然と突っ込んで一塁手新井君が三塁でバントを刺すプレーだったが、このあたりの判断力が横浜の強さだろう。森田監督も、「相手の守備体型を見て、素直にバントするのではなくて、プッシュにするとか、そういうところが必要なんです」と、その攻め方を悔やんだ。
それにしても、何だかんだ言いつつも、結果的には神奈川県の頂点に立った横浜。やはり、夏も本命となっていくのだろうか。
今週のエンドメッセージ
今年のゴールデンウィークは比較的天候にめぐれたという印象でしたが、最後になって雨に見舞われました。この時期、春季大会の終盤という地域も多かったのですが、遠征で練習試合を組んでいるところも多くあります。
5月5日は慶應義塾の日吉台に沖縄県の中部商と愛知県の成章が訪れていました。最後は雨になってしまい、中部商と慶應義塾の試合は8回で雨天打ち切り(2−2)という形になってしまいました。その決着は、夏の甲子園でつけてくれればと思っています。昨春21世紀枠で甲子園へ出場した成章は慶應義塾、中部商という強豪と試合をして、また次への課題を見つけたようでした。糟谷寛文監督を慕って、現在法大で活躍している教え子の中神投手も顔を出していました。成章は前日は東大和、府中工とも試合をしてきましたが、東大和との交流を復活させようと、来年は東大和を渥美半島の田原市に呼ぼうという計画もあるそうです。こうしたチーム同士の交流もまた、高校野球の楽しさであり魅力だと思っています。
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| 2009年4月29日(水) |
| 第324回 |
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春季大会も中盤から後半になってくるとスタンドも賑わってくる。好天にも恵まれた19日の日曜日の神宮第二球場は準々決勝で、「都立校vs.私学強豪」という構図になって、さらにファンの興味を引いた。10年前に城東を甲子園に導いた有馬信夫監督が、昨秋から総合工科監督に就任。その総合工科が登場ということもあり、すっかり有馬ファンになっている当時の城東の父母たちも多くスタンドに集まった。こうした継続もまた、高校野球の楽しさの一つである。また、小山台の福嶋正信監督も、その2年後に江戸川を東東京ベスト4へ導いた人である。都立の熱い指導者たちが、この春も暴れまくっている。
4月19日(日)
春季東京都大会 準々決勝(神宮第二球場)
小山台 000 002 054=11
八王子 200 000 100=3
総合工科 000 000 00=0
国 士 舘 000 000 25X=8 (8回コールドゲーム)
小山台の勢いが止まらない。しかも、前半は耐えて辛抱して、後半に一気に爆発するという試合運びは一つの持ち味のようになってきた。
7回1死一二塁で最も信頼のおける小保方君、馬庭君の三四番が凡退。その裏、八王子に三浦君の二塁打と南嶋君の犠飛で1点のリードを許す。試合の流れからすれば、通常はこれで「健闘むなしく」という形になりかねないところだ。ところが、1点リードされた場面の8回、小山台は石井君が中前打で出ると死球後バントで二三塁。ここで途中から入って初打席となった佐藤亘君が中前へ強烈にはじき返して同点。さらに九番浜谷君が三遊間を破り逆転。一番高辻君が左翼へ3ランして一気にリードを広げた。
自身の一発で気をよくした高辻君はその裏、上手い投球で三者凡退に抑えると、9回も小山台は3本のバント安打を含む8連続安打で4点。エンドランを絡ませて石井君、山岸君の長打攻勢あり、2ランスクイズありの多彩さだった。「まともにやったら勝てませんから、奇襲戦法ですよ。6回(小林君の同点2ラン)は、カウント0-3だったんですが、狙えのサインですよ。ウチは本塁打のサインがありますから」と、福嶋監督は積極性を強調した。「普通は後半になると集中が切れるじゃないですか。だけど、この子たちは後半になって集中力が増します。だから前半は辛抱するんですよ」と意識の強さも強さの要因だという。選手たちの心の絆がいまの小山台には圧倒的な力になっているようだ。
一方、総合工科は結果としてはコールドゲームになってしまったものの、内容的にはまったく互角だった。事実、国士舘の箕野豪監督も、「前半は押されていましたし、正直怖かったですね。2回(無死一三塁)は、1点は覚悟したのですが、そこを河原が0で抑えてくれたのが大きかったですね」と、前半の辛抱戦、苦戦を振り返っていた。
総合工科は右サイド気味の芦田君、国士舘は公式戦2度目の先発だがフォークボールを駆使する河原君。両者が持ち味を出した緊迫の投手戦は7回、3巡目になってクリーンアップが爆発した国士館は福田君が一塁線を破る二塁打で出ると、原島君も右前打して一三塁。さらに、北川君が右へ運ぶ二塁打、川原君の犠飛で加点。8回には、九番鈴木龍君の左前打から始まって高橋直君のバント安打や好走塁など、国士舘らしい足を絡めた攻撃もあって5安打5点が入りコールドゲームとなってしまった。
それでも、2安打した高橋海君らの強烈な打撃が印象的な総合工科は逞しさを印象づけた。有馬監督は、課題としていた投手陣にも芦田君が成長したことで、「苦しいところで内側に投げる勇気がねぇからまだまだだよ」と辛口ではあるものの、目処はついたようだ。
4月22日(水)
春季群馬県大会 4回戦(高崎城南球場)
富 岡 010 00=1
高崎商 000 011X=11 (5回コールドゲーム)
太田市商 010 000 000=1
高 崎 001 100 00X=2
ともに投手力が安定していて、ロースコアの競り合いが期待された試合が、一つの切っ掛けでビッグイニングとなってしまいそのままコールドゲームになるという思いもかけない展開になってしまった。これも、高校野球の怖さであろう。
2回に死球と牽制悪球に内野安打で広げた好機に内野ゴロで先制した富岡だった。ところが、後半へ向けてどう戦っていくのかというところで迎えた5回、高岡商の攻撃が一気にはじけた。
この回、高崎商は2四球で1死一二塁として二番河内君が同点となる左越二塁打を放つと、松本君も右前打して逆転。さらに、木村君、後藤君が連続左越二塁打。清水君、狩野君も続いて、結局この回一挙に11点が入ってそのままコールドゲームとなってしまった。今井君の外へのスライダーに苦しんでいたが、「体の小さい選手は少し踏み込んで、中軸の大きい選手はそのまま思い切って里の球を振り切れ」という住吉信篤監督の指示通りに選手たちが対応して、見事に狙いが的中した形になった。今井君は中学時代に全国8強という実績のある投手だが5回突然崩れてしまった。「やはり四球から崩れてしまいました。出来はそんなに悪くなかったんですが、改めて高校野球は怖いなと思ってしまいました。夏でなくてよかったです」と、田畑茂監督は夏へ向けて今井君の気持ちの作り方含めて改めて課題を見出していた。
高崎商の渡辺君は、センバツでも2失点で負けはしたものの好投したかがこの日は「60点くらい」(住吉監督)という内容だった。角度のあるストレートが、この日はもう一つ制球も甘かった。それでも、走者を出しながらも抑え、投手としての安定感は示したのはさすがだった。
1点リードした7回、ここまで1失点で好投してきた浦野君を思い切って交代した高崎。リリーフした澤田君は先頭打者には四球を与えたものの、以降3イニングを0に抑えて継投は成功した。この交代は三木捕手の、「相手打線が投球に合ってきました」ということを伝えてのものだという。実は、このあたりの選手の判断を信じての思い切りのよさこそ、高崎の持ち味ともいえるのだ。
高崎の境原尚樹監督は自信をもって言う。「選手の判断力を信じています。五感を研ぎ澄ませて感じたことを正しく判断する。その力こそウチのようなチームには必要なのです」。高崎中時代から継続して、歴史的に総理大臣を二人も輩出している県内一の進学校でもある高崎だからこそともいえるのだろうが、そうした感性を育てる野球を目指している。
今週のエンドメッセージ
ゴールデンウィークは、春季大会もさることながら各校はしきりに対外試合を多く組んでいます。春季大会が早くも終了している九州勢は、この時期に関東遠征などを組んでいるところもあります。
春季大会を追いかけるのはもちろんですが、普段あまり見ることのできない、全国各地の学校を見られるのもこの時期の楽しみの一つともいえます。
各チームも、これからは実戦経験で伸びていくようになります。試合でどのような対処が出来るのかということも大事な要素といえるでしょう。
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| 2009年4月21日(火) |
| 第323回 |
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4月も3週間が過ぎた。新入生も、ようやく新しい学校に慣れてきたことだろうか。それでも、まだまだ戸惑うことも多いはずだ。
新しい環境といえば、異動してきた教員もやはり新しい環境に対しての戸惑いがあるだろう。とくに、学校というところは似ているようで、それぞれの環境の中でのルールがあり、それに慣れるのが大変だという。それに、歓送迎会など、大人の付き合いもあるだろうから、実は新入生以上に大変なことも多いのだろう。
そんな中で、春季大会は進行している。
4月12日(日)
春季神奈川県大会 2回戦(横浜創学館グラウンド)
横浜創学館 200 020 241=9
川 崎 工 010 010 020=4
市立橘 201 010 000=4
逗 子 000 000 011=2
金沢文庫駅からバスで数分。神明前というバス停を下車するとすぐそばの丘を登っていくと横浜創学館グラウンドにたどり着く。小高い山を削って造られたグラウンドでもあり、箱根駅伝の5区のような急激な上り坂を登りきったところになるが、外野後方は山が迫った感じだ。左翼後方には、手作りながら3人が投げられるブルペンが設けられている。好天の日曜日、そんなグラウンドに多くの人が集まって、ネット裏は人であふれた。
横浜創学館は初回、2死から中前打すると圓垣内君が速い球脚の中前打で一三塁。暴投で先制すると、亀山君の内野安打で2点目。5回には飛球安打と併殺の間に得点。初回以降、川崎工の鶴田君のやや荒れ気味の投球に戸惑っていたが何とか突き放した。そして、8回には6回からリリーフしていた小金井君をとらえ、さらに前日好投した3人目の富貴君もとらえて鈴木和君の内野安打や、圓垣内君の右翼フェンス直撃の二塁打などで大きくリードを広げた。圓垣内君については横浜創学館の森田誠一監督が、「当たれば飛距離だけならば神奈川県一じゃないでしょうか。横浜の筒香よりも飛ばすかもしれません。もっとも、当たればということなんですが」と評価しているが、その片鱗をうかがわせる一打であった。
もっとも、横浜創学館としては勝つには勝ったものの、内容的にはもう一つというのが正直なところか。エース森君が指の引っかかり具合がよくなく制球が乱れ、リリースポイントがばらついて四回までで7四死球という乱調ぶりだった。そこを川崎工につかれて苦戦した。それでも、打線が強力なので、何とか凌いだという形だった。
9回に2点差に迫られ、なおも2死一二塁という場面を何とか黒川君が踏ん張って逃げ切った橘。最後を押さえた右横手投げの黒川君のスライダーとシンカーのキレもよかった。それ以上に先発して8回途中まで投げた羽深君の好投も光った。7回2死から長短打されて二三塁のピンチとなるものの、踏ん張った。ここまでわずか3安打という内容だった。
橘は初回、四番数山君の中越二塁打で先制。石橋君が左前打で続き、内野ゴロの送球がそれる間に2点目。3回も相手失策で加点。5回は安打の大谷部君をあえて数山君に送らせたが、石橋君がゴロで一二塁間を破って追加点。橘としてはいい展開だった。
ただ、8回に疲れの見えた羽深君が四死球を与え降板。押し出しで1点を失い、9回も金山君の中前打などで2点差としてなおも長打で同点という場面になったところを黒川君が踏ん張った。逗子の高橋君もよく投げていたが、結果的には堅実な守りの出来た橘が制したということである。とくに、遊撃手大谷部君の動きはよかった。「今年は、投手が安定しているので、しっかりと守ることができればある程度いけると思っています。今日はとくに、守りがよかったですね」と、藤田龍清監督も満足そうだった。
4月14日(火)
春季埼玉県大会西部地区予選 1回戦(所沢航空公園球場)
西武学園文理 213 024 102=15
城西大川越 300 004 400=11
飯能南 000 000 000=0
富士見 100 020 10X=4
あわやコールドゲームが、結局接戦となった。スコア上はスリリングだったかもしれないが、内容的には乱戦というか、ミス合戦になってしまった。何しろ両チーム共に14四死球ずつというもので、それだけでも投手の不安定さがわかる。これに、暴投あり、城西大川越は5つの失策もあり、結果的にはそれがスコアの差となったといえようか。
6回に西武文理に三番古川君の3ランが出て12−3。ところが、このリードにもかかわらず、坂井君が3連続四球などで満塁にしてしまい、暴投などもあって4点を吐き出した。7回にも、城西川越に関根君の三塁打などで4点が入りいつの間にか2点差。まだわからないぞという雰囲気になってきたが、9回2死一二塁から五番松浦君が左越二塁打して2点を追加して決着がついた。
一転、投手戦となった2試合目は、天候こそ崩れかかってきたが、試合はお互い質も高く動きもよかった。試合運びに一日の長がある富士見が先制、中押し、ダメ押しという形で投手戦を制した。
富士見のエース竹生君は180cmあるが、上体を上手く乗せた感じで投げ込んでくるが、真上からというよりはスリークォーター気味で制球力もあり、スライダーの切れ味もいい。5回までは無安打で抑え、四球で出した二人の走者もいずれも牽制で刺していた。牽制球も非常に上手い。守りもよく鍛えられており、このあたりは山崎警監督のチーム作りの巧みさが感じられる。2年前の春に関東大会に初進出して「埼玉県に富士見あり」をアピールして公立校としての存在感をアピールしたが、今年のチームは確実にそれが大きく糧になっている感じだ。
初回、富士見は先頭の松岡君が安打で出るとバントで二進。野本君が左前打してあっさりと先制。5回には内野安打の柴田君がバント、ボークで進むとスクイズ。これが野選となりさらに好機が続くと野本君が中前適時打。7回にも相手ミスに乗じて加点しソツのなさを示した。
飯能南は投手で一番、しかも左投げ右打ちという変り種の横田君が面白い存在だ。2年前夏には武藤投手(Honda)でベスト16に進出したこともある飯能南。横田君も小気味よく投げていたが、富士見の上手さにやられたという感じだった。北能徳監督は、「ロースコアの試合になるということはわかっていました。ただ、富士見の選手たちはよく教えられていますよね。ちょっとした差なんでしょうけれど、その差が大きいんですかね。勝ちたかったですね」と、悔しさをあらわしていた。「一生懸命やっているからこそ、結果が欲しい。結果を出して、自信を持たせてあげたいんです」と、常々言っている北監督は、好チームだっただけに、この春は県大会に進出したかったのだろう。
今週のエンドメッセージ
先回に引き続き、食事の話です。食事は体作りだけではなく、心を作るのにも大切です。朝食を摂らない子の方が切れやすいというデータも出ているようです。
愛知の名門中京大中京では食事も大事な練習の一環ととらえ、普段の日も昼は食堂に集まって、大藤敏行監督も加わって一緒に弁当を食べるそうです。「ちゃんと食事を摂っているかどうかを確認できるし、やっぱり、食事時だもんで普段言えん冗談も言い合えるでね」と、心身両面の効果を語ってくれたことがありました。
また、岐阜県のある学校の選手は、弁当箱をあけたらご飯にシソの葉で「打て」なんて書かれているのを見て苦笑いしていながら食べていたことがありました。そんな弁当を作ってあげられる母親はいいなと思いながら見ていました。
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| 2009年4月14日(火) |
| 第322回 |
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関東地区では他県よりも先行する形で進行している東京都の春季大会。ベスト16で夏のシード権が与えられるのだが、東が12校なのに対し、西が4校という東高西低のアンバランスなものになってしまった。しかも、東西ともに昨年の代表校、準優勝校はノーシードとなった。もっとも、それはそれで面白いという見方もあるのだが、なかんづく都立校の躍進が著しい。東ではベスト8に進出した総合工科、小山台はじめ葛飾野、足立西、雪谷、足立新田と都立校が6校シードというのは初めてだ。
4月9日(木)
春季東京都大会4回戦(神宮第二球場)
日 野 200 020 100=5
総合工科 020 030 22X=9
小 山 台 000 002 404=10
足立新田 000 101 010=3
ベスト16の激突、いわゆる「エイト決め」と呼ばれる試合で、とくに64チーム以上のトーナメントでは確実に3勝以上はしているチームなので、このあたりの激突は非常に興味深い。その対決が都立校同士というのは記憶がない。別に、都立だから私立だからということではないのだが、とくに東京都などの首都圏の場合、さまざまな条件によって私学の方がチーム作りとしては強化しやすいのは確かである。多くのファンはそれがわかっているから、都立校が躍進すると、新鮮さを感じて喜ぶのだ。
丁度10年前に城東を甲子園に導いた有馬信夫監督が昨秋から総合工科の監督となった。城東監督時代はそのべらんめぇ調の有馬節を含めて話題になったが、その後の城東の躍進を含めて、この男が東京都の勢力地図を塗り替えの起爆剤となったことだけは確かだ。創立4年目総合工科のベースを築いた千葉智久部長とともに、強力打線の逞しいチームを作り上げた。
各打者は球を引き付けるようにしてバチーンと鋭くはじき返していく。2点リードされた2回、2本の犠飛で同点にするのに驚かされる。5回、日野が四番豊田君の2ランで再び突き放すと、今度は高々と打ち上げた飛球が二塁打となる幸運を生かして五番高橋君の左前打、スクイズと相手失策で逆転。それでも、日野も7回に六番渡辺君が同点打で粘りを示す。
しかし、その裏、九番杉崎君の力強いタイムリーで再びリードし、8回も1死二三塁から六番藤戸君が2点タイムリー。ダメ押しとした。上位下位の関係なく、各打者の鋭い打球が目を引いた。「打つって言ったって、2週間前はぜんぜん打てねぇんだもん。ピッチャーも1試合もたねぇし」と有馬監督は言うものの、きっちり大会には打つように仕上げ、投手も芦田君、石川君と継投でつないでいく。やはり、有馬マジックか。
総合工科の有馬監督の「動」に対して、「静」のイメージでしっかりと好チームを作り上げてきたのが小山台福嶋正信監督だ。葛飾野から江戸川の監督時代を通じて、「いける感触としてはこれまでで一番。とくに、今の子達はチームの心のつながりがいいんですよ」と、絆の強さに目を細める。その根底にあるのは、選手たちが自主的に行っている野球交換ノートだという。意識が高まれば、確実にチーム力がアップする。それを具現しているのが小山台ともいえよう。
小山台の先発高辻君は投手で一番という変り種。その高辻君がテンポよく投げ込んでくるが、4回に少し単調になったところを新田打線に掴まり、比護君のタイムリーなどこの回4安打されて先制を許した。新田打線は積極的にファーストストライクを打ってきて、この思い切りのよさもまた見事だった。
反撃したい小山台は6回馬庭君、石本君の連打やバントで2死二三塁として山岸君のタイムリー打で逆転。その裏に同点とされても小山台は真庭君のタイムリーでリードすると、石本君が左翼へ3ランして大きくリード。9回にも好打者三番の小保方君の二塁打などでさらに4点を加えた。そのリードを高辻君から、成長著しい丸澤君とつないで守りきった。
4月10日(金)
春季東京都大会4回戦(神宮第二球場)
駿台学園 100 001=2
日 大 三 101 433X=12 (6回コールドゲーム)
成立学園 010 000 000=1
二松学舎 200 111 20X=7
二松学舎の充実ぶりが光る。1年生のときから注目を浴びていた京屋君が四番打者としてチームを引っ張っているが、小野田投手が成長したこともあって、遊撃手として登録されている。これは、市原勝人監督の「ショートをこなすことができれば野手として他のポジションもやれるだろう」という京屋君の将来性を見越してのことでもある。初回には外のスライダーに合わせて、バットコントロールだけで右翼ポール際へ入れてしまった。打球が切れないのは、やはりスイングの強さだろうか。183cm88kgという数字は変わっていないが、体が締まったように見えるのは筋肉の質が上がったということであろう。市原監督は、京屋君の心の成長も評価していた。まさに、心身の充実といっていいだろう。
二松学舎は3回にも井上君、6回には柴田君といずれも右打者が右翼へ運ぶ技ありの本塁打を放っている。7回には小野田君も自身のバットで2点タイムリーした。投げても小野田君が2回こそ山口君の二塁打で1点を失ったものの、7イニングで3安打1失点は好投といっていい。スムーズなフォームから、楽に投げていた。コントロールよく外にボールを集めていた。
結果的には7点を失ったものの、成立の投手陣も悪くはなかった。先発した西潟君は本塁打こそ浴びたものの、外のスライダーの切れもよくストレートも力があった。長谷川君は代わり端に柴田君に本塁打されはしたが、投手としてもまとまっていた。
今年は例年に比べると小粒とはいわれているものの、日大三もやはり充実している。何だかんだ言いつつもきっちりとここまで仕上げてきているのはさすがだ。関谷君は時に力んで単調になると連打を浴びていたが、球そのものに力はある。そして、4回、5回、6回に見せた集中打は例年の日大三の迫力に何ら変わりはなかった。5回に飛び出した内山君の3ランなどは完璧といっていいだろう。
駿台学園としては、下手投げの小林君にすべてを託した形だったが、この日は独特のふわりと浮いてくる球が甘く入ったところを日大三打線に掴まってしまった。初回に、打ち取ったはずのところを失策で同点としたのもリズムを崩す要因となったのかもしれない。結局、三角裕監督は3回途中で小林君を諦め、斉藤恭君を送り出したが、日大三の勢いを止められなかった。
今週のエンドメッセージ
球場でちょっと気になる光景に遭遇しました。それは、合宿所もある有力校の選手たちですが、試合後に弁当が配られていたのですが、それを残す選手が意外と多いということです。それだけではありません。そのくせ、父母から差し入れられたシュークリームなどをぱくついて、簡易栄養食を補給しているのです。それよりも、もっときちんと米を食べることを指導した方がいいと思うのはボクだけではないはずです。中には、半分以上も弁当を残す選手もいて、驚いてしまったとともに、何だか残念な気分でした。
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| 2009年4月9日(木) |
| 第321回 |
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今年のセンバツは、春夏連覇の実績のある学校が3校出場。伝統校復活なども話題になっていたが、甲子園準決勝とセンバツ史上で初めてとなった東北代表対決などもあり、結果的には大会前の評判が高かった好投手のいるフレッシュな顔合わせの決勝戦となり、期待通りの投手戦の末、清峰の初優勝で幕を閉じた。もっとも、ほとんどの学校ではすでに夏を見据えながらのチーム作りだ。その一方で、新入生を迎え学校は活気あふれる時期でもある。だから、4月の学校を訪ねるのはとても楽しみなことだ。
4月1日(水)
練習試合(蓮田高校グラウンド)
蓮 田 100 000 00=1
水 沢 100 204 01X=8 (8回コールドゲーム)
水 沢 530 200 0=10
大崎中央 000 000 0=0 (7回コールドゲーム)
蓮 田 200 013 000=6
大崎中央 002 000 010=3
甲子園で宮城県の利府と岩手県の花巻東が初の決勝進出を争っているときに、埼玉県の蓮田市と白岡町の境にある蓮田高校グラウンドでも宮城県と岩手県の学校が試合をしていた。ちなみに、水沢は昨夏の岩手大会ベスト4、4回に2ランした千田君はそのときからのメンバーである。大崎中央は夏は2回戦で利府に1−2、秋は県大会ベスト8に進出。一昨年には東北大会に進出した実績もある新鋭で、啓誠学園が経営する私立校である。
この日は3試合ということで、最初から7回7点差でコールドゲームということを決めていたのだが、結果的には2試合もコールドとなってしまった。東北対決もそうなったのだが、これは前の試合の勢いを持っていた、水沢がそのまま大崎中央の先発吉田君のやや不安定な立ち上がりを攻めたというところもあった。四球と安打で一二塁とすると、すかさず重盗。佐藤秀君の犠飛で先制。さらに2死三塁から佐藤快君、伊藤大君の連打に四死球もあって5点。2回も千田君の犠飛や佐藤快君の二塁打などで3点。さすがに、大崎中央の山川俊春監督はここで吉田投手を諦め前田君を送り込んだ。水沢は、4回その前田君から千田君が会心の2ランを放った。千田君はこの遠征ではずっと調子が悪かったというのだが、ここへ来て一気に開眼したようだ。
水沢はひたむきに野球に取り組んでいるという姿勢が十分に感じられた。送りバントや進塁打など、ここで自分は何をするべきかということを選手たちがここで理解しているということがよく伝わってきた。選手たちも必ずしも素質に恵まれているというのではない。それでも、後藤君は右上手のオーソドックススタイルだが、丁寧にコースをついていた。右サイドの佐藤秀君はシュートが有効だった。2試合目は先発伊藤大君が直撃打球を受けて大事をとって3回途中で降板。急遽マウンドに登った新沼君、伊藤直くんがそれぞれ持ち味を出してよく投げた。
蓮田高校は、JR東北本線の蓮田駅からバスで東埼玉病院前から徒歩もしくは白岡駅から徒歩で約20分というところにある。首都圏の埼玉県とはいえ、周囲は畑が多く道路も真っ直ぐに伸びているという田園光景が続く。大井から赴任して2年目の内迫博紀監督は、部活動で学校の活性化を含めて熱く指導している。大井時代もエネルギッシュな指導で、県ベスト4にまで導いた実績もある。
「怒鳴ったり、大声を出すというだけでなく、生徒に話して言葉でわかられるということを心がけるようにしています」というが、これは越谷西を部長として甲子園に導いた前任の鈴木学顧問がこの学校で実施してきたことで、それを踏襲して、「時間はかかるかもしれないけれど、少しずつでも意識から変えていきたい」という思いだ。生徒の定着率が7割を切ることもあるというところで、指導者たちは試行錯誤しながら野球を通じて学校を改革していこうという。
そんな蓮田だが、グラウンドも広くほぼ専用球場として使用できるのは強味だ。
4月4日(土)
春季東京都大会 2回戦(駒沢球場)
小 平 100 000 00=1
成立学園 400 010 03X=8 (8回コールドゲーム)
國學院久我山 001 101 020 4=9
岩 倉 200 200 010 0=5 (延長10回)
4月になると、東京都の大会がすぐに始まる。進行の早い東京都大会は、4月2週目までに夏のシード校となるベスト16以上が決まる。それだけに、早い段階での仕上がりが出来ているチームが好結果を導き出す。
長身186cmの八木投手が話題となっている小平の戦いぶりを注目したが、立ち上がりに総合力で上回る成立学園が初回の先制攻撃で出鼻をくじかれた。テークバックからそのまま、あまり肩が回らない感じで投げてくる投球フォームで、まだ発展途上という印象でもあった。
初回表に1点を失った成立はその裏、安打と失策絡みで2死一二塁として、五番西潟君が大ファウルを放った後しっかりと引き付けて三塁線を破って同点。死球後満塁で山口君が一掃の二塁打を放ちビッグイニングとした。2回以降はストレートもある程度走っていただけに、八木君としては、初回の投球が悔やまれる。
このリードを成立は小池君、西潟君とつなぎ、6回からエースナンバーをつけた長谷川君が守りきった。ただ、いずれの投手も制球にやや難を示して不安を残した。それでも、長谷川君は時に力のあるボールが低めに決まっていた。
成立は8回に二番手として登板した橋本君の制球難などをついて3点を加えてコールドゲームとした。
中堅校対決となった試合は、延長の末に國學院久我山が何とか制したが、スリリングに見えるスコアの展開とは裏腹に久我山投手陣の7死球や、お互いが失策絡みの失点が多いなどいくらか乱戦気味でもあった。
1点を追う久我山は8回、死球と盗塁に内野ゴロで2死三塁とすると、代打平川君が高良武士監督の期待に応えて右前へ同点打。代走田中君がすかさず二盗して三番鋤田君が右前へ運んで逆転打とした。久我山にとってはいい展開だった。ところが、これですんなりいかず岩倉もその裏代打山内君の好打などでチャンスを作り、八番ながら鋭いファウルを再三放っていた`島君が詰まりながら左前へ同点打を放った。さらにチャンスは続いたが、そこは久我山の景山君が踏ん張った。
そのまま延長にもつれ込んだ試合は10回、ここまで投げ続けてきた岩倉の飯田君が力尽きる形で四球と景山君のタイムリーで再びリードを許すと、失策や五番吉田君の二塁打も出て決定的ともいえる4点が入った。角度のあるストレートをもっていて点はとられつつも踏ん張っていた飯田君だが、やや引っ張りすぎだったかなという気もした。ただ、豊田浩之監督としては、「一番伸びて欲しいと思っている選手ですし、故障も多かったものですから、むしろここまで投げられたということを励みと自信にして欲しいんです」と、期待を示していた。確かにタテのスライダーも魅力があるし、夏へ向けては成長を期待していいだろう。
今週のエンドメッセージ
春休みや週末など、学校の授業が休みの日には体外試合などで多くの運動部の生徒たちが荷物を持って電車に乗って異動しています。そんなときに、学校名の入ったスポーツバッグをチェックする癖がついているのですが、車内でのマナーのいい生徒たちを見ると、嬉しくなります。学校を代表して、学校の名前を掲げているのが運動部です。
車内や学校に訪れたときにでも、マナーのいい生徒たちに遭遇すると、やはり応援したくなります。とくに、野球部は荷物が多いですから、車内でもそのことも意識しているかいないか、それだけでも随分違うはずです。電車に乗ることを含めて、移動も大事な練習だと意識しましょう。
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| 2009年4月1日(水) |
| 第320回 |
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4月は、新しい人と人との出会いの季節である。しかし、今年はそんなフレッシュさも吹っ飛ばされてしまうくらいに、世間では不況風が吹き荒れていて、ニュースを見ていても滅入ってしまうことばかりだ。それでも、学校は新陳代謝の春である。全国では、春季大会が始まっているところも多い。せめて、家庭環境で野球が継続できないなどということだけは、ないようにしてあげてほしいと思う。
3月18日(水)
練習試合(日大藤沢グラウンド)
羽 黒 100 000 010=2
日大藤沢 021 000 00X=3
日大藤沢 202 000 010=5
羽 黒 000 001 001=2
前日から関東遠征に訪れている山形県の羽黒。連日2試合ずつこなして行くという。この時期は、こうした遠来のチームが関東地区の有力校を訪れるので、普段あまり見られないチームを見られるのがいい。
日大藤沢は昨年秋は、横浜をワンチャンスを生かして下すなどの活躍で、神奈川県大会準優勝して関東大会にも進出している。その原動力となった石垣君はこの日も、力強いボールを小気味よく投げ込んでいた。170cm67kgと決して体は大きくはないが、腕の振りもよく、カーブも大きく鋭く決まっていた。初回こそ、四球とバントヒットに失策絡みで1点を失ったものの、安定感は十分だった。
そして、2回に岡君が中前打で出ると盗塁と内野ゴロで1死三塁となったところで、六番金田君は左中間をライナーで破る巧打。この打球が一番深いところへ転がって、ランニングホームランとなった。「ここは、左中間も広いのでランニングホームランになることがよくありますよ」と、教えてくれた人がいたが、なるほど、次の試合でも日大藤沢は森下君が左中間同じようなところを破ってランニング2ランホームランを記録している。とくに、ホームとなる日大藤沢の選手はそれを知っているから、「左中間が抜けたらホームまで走れる」という意識で走っていくということもあるようだ。
3回にも日大藤沢は1死一塁から五番島仲君の左越二塁打でさらに1点を追加する。このリードを石垣君が7回を初回の1失点のみで抑える。それでも、羽黒は8回に、二番手の後藤君から三番荒井君が左越本塁打して1点差に迫った。9回にも、二つの失策で一打逆転という場面を迎えるが、そこは後藤君が踏ん張って2者連続三振とした。
羽黒は、ブラジルからの留学生アラン君が先発したが、制球にも苦しみ3回で降板。その後は四番打者として右翼に入っていたが無安打だった。思い切りスイングしてきて、当たったら大きそうなのだが、この日は芯に当たらなかった。もう一人の留学生ウィリアム君も2試合目に先発したものの制球に苦しんで、初回は3連続四球で走者をためて森下君に二塁打されて2点。3回はその森下君にランニングホームランされる。力強さはあるものの、制球不足と単調さでそこを日大藤沢に巧みに突かれたという感じだった。
3月24日(火)
春季東京都大会 第20ブロック代表決定戦(佼成学園グラウンド)
小 山 台 000 122 102=8
都市大高 000 000 010=1
昨年末からの工事で、佼成学園グラウンドが人工芝になったということを耳にしたので、それを見たいということも含めて足を運んだ。
試合後に、グラウンド管理の星伯佳部長の案内で少しグラウンドに入らせてもらった。芝そのものは、今はやりのふわっとした感じのもので、踏みしめた感触は柔らかくていい感じだ。そして、マウンドと打席、ベース周りはアンツーカーではなくて黒土になっているところも優れものだ。
ところで、都市大高とは武蔵工大附の4月からの新校名である。大学が工学部系だけではなく幅広い学部を設置したことによる校名変更となったということだ。だから、正式にはまだ武蔵工大附なのだが、この大会は勝てば4月の都大会につながっていくし、ユニホームも新しいものになっているので、新校名で戦うことになっているようだ。
試合は序盤は淡々とした投手戦だったが、4回に都市大の佐藤拓君が突如制球が乱れて、4四球で押し出し。小山台に先取点が転がり込んだ。さらに、5回には三番小保方君が香川君から右翼へ2ランして突き放した。小保方君はやや癖のある構えだが、力強い感じだった。勢いづいた小山台は、6回にもポテン安打と失策絡みで2点。完全に主導権を握った。
また、小山台は丸澤君が好投して守りもリズムがよく、8回に渡会君のタイムリーで1点は失うものの、危なげなかった。9回にはスクイズも交えてさらに加点。「今日は、特別に守備もよかったね。いい流れでしたよ。本当は、まだ投げられる投手がいるんですよ」と、福嶋正信監督も満足していた。
今週のエンドメッセージ
1回戦の後半と2回戦、準々決勝まで甲子園にいました。新しい銀傘の甲子園がいつもとは少し違った印象を与えてくれました。
今年のセンバツは好投手が目立ちました。これは、気温の低さや寒さもあって打線も打てなかったのかなとも思いますが、期待されていた投手が、しっかりと結果を残すのは大したものです。
それにしても、今年は例年以上に寒い日が続いた甲子園でした。
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