|
6月最終週の練習試合は、各校にとってはそれぞれ意味がある。本番前の最後の調整と確認でもあるだけに、投手起用や打線の組み方も大会を意識したものとなっていく。また、その一方で期末試験や学校行事との兼ね合いもあり、指揮官としては頭の痛いところでもある。それでも、最後の夏へ向けて、3年生にはより良い状態で大会の試合に向かわせたいというのは本音だろう。
6月26日(土)
練習試合(城東高校グラウンド)
両 国 000 000 000=0
城 東 030 000 00X=3
下町ダービーというか、総武線の亀戸―錦糸町対決というか都立の近郊校同士の対決である。城東はこの日がたまたま学校公開日ということもあって、近隣の中学生も多く見に来ていた。ギャラリーが多いと、いやが上にも雰囲気は盛り上がってくる。二度の甲子園に出場実績もある城東が格上だろうが両国にも鈴木慶君という好投手がおり期待感も高い試合となった。
鈴木慶君はスラリとした長身でトルネード気味に体を回転させながら、サイドから投げ込んでくる変則タイプ。ストレートも伸びがあるが、スライダーの切れがいいとそうは打たれない。内野に失策があろうが、ポーカーフェースで淡々と投げていくのも特徴といえそうだ。ただ2回、少しスライダーが甘く入ったところを六番小川君、七番岩戸君に連打され、八番小杉君の左越二塁打と一番清水君の中前適時打で3点を失った。
この回だけ、抑えようという気持ちが力みになってしまったのかもしれない。それでも、以降は失策でピンチを招いてもその後をしっかりと押さえるなど、試合をまとめられたことは自信につながっていくのではないだろうか。
ただ、両国としては打てなさすぎた。二塁を踏んだのも3回の1度だけでは攻めきれなかった。「もう少し食い下がれると思ったのですが、攻められませんでした。それでも、投手はある程度投げられることは確認できたと思います」と、阿部隆行監督は、失策もあったが守りの野球に関してはある程度のめどはついたようだ。あとは、ランダウンプレーなど、細かいプレーの確認だという。
城東は大会でも1番をつけることになっている小杉君が5回を投げ、右サイドの板垣君があとの4回をしっかりと投げて抑えた。平岩了監督としては、大会を見据えて勝つパターンの継投をイメージしていたようだ。かつての、攻撃型の野球から手堅い守りの野球になった印象の強い上等だが、確実な野球は投手しているという印象だ。あとは、爆発力が欲しいところだ。
6月27日(日)
練習試合(日大三高グラウンド)
中京大中京 000 022 000=4
日 大 三 000 000 05X=5
朝から午前中は雨が残ってしまったこともあって、結局午後からの1試合のみということになって、変則ダブルで予定していた志学館の試合はなくなってしまった。それでも、昨夏の優勝校と今春の準優勝校という対決である。なかなか見られない質の高い対戦でもあり熱心なファンたちが悪天候にもかかわらず多く足を運んできており、気がついたらネット裏はほとんど一杯といっていいくらいに埋まっていた。最寄駅とされている京王多摩センターからも遠く、比較的足の便の悪い日大三グラウンドながら、これだけの人が集まってくるということに感心してしまったと同時に高校野球の人気の根強さに、今さらながら感心した。
練習試合とはいえ、見ている側にも何となく緊張感のある試合だった。中京大中京は浅野君、日大三は山崎君とタイプは異なるが注目の両左腕投手が先発。序盤から中盤にかけてはお互いが組み立てを考えながら、丁寧に投げて、打撃戦の予想に反して0を重ねていく展開となった。
均衡を破ったのは中京大中京で5回、一番の小木曽君が左前打で出るとバントで二進。三番森本君の一打はグーンと伸びて中堅手の頭上を破る三塁打となり先制。さらに、磯村君の犠飛で2点目。6回にも、四球バントなどで2死二塁としてから九番岩月君の三塁線二塁打と小木曽君の中前適時打で2点。このリードをそのまま中京大中京が守りきるかに思われた。
ところが、さすがに日大三だ。「このまま終わってしまってはいけないだろう」と、小倉全由監督が気持ちを引き締めた8回、四球の走者を置いて二番高山君が左翼へ2ランを放つと、続く吉澤君も目の覚めるような本塁打で続いてたちまち1点差。そのまま続投した浅野君に対して、さらに横尾君が安打で続き六番荻原君が左中間へ逆転の2ランを放った。1イニング3発で4点をひっくり返すのだから、やはり日大三の爆発力はすさまじかった。日大三は7回からは右の吉永君が切れ味のいい投球を見せていた。
公式戦ならば、2本目を浴びた時点かもう少し前からで浅野君から森本君への交代ということは十分に考えられたのだろうが大藤敏行監督は、「リードしていたので最後の1イニングだけ森本でいこうということは考えていました」ということだが、森本君もやや背中に違和感があったということもありこの遠征ではそれほど長いイニングは投げさせないという方針だったようだ。
ところで、この10日ほど前に衝撃的に報じられた大藤監督の今季限りでの勇退というニュースだが、「元々、大学の方でという話は以前から来ていたのですが、去年、やっと全国優勝したところですし、自分が声をかけて入ってきた(今の)1年生たちを送り出してからというつもりだったんですけど、正直、私にとっても突然のことでした」と、大藤監督自身にとってもいささか寝耳に水の人事だったようだ。
結局、夏以降は高橋源一郎コーチが後任となるものの、大藤監督は総監督的に2年間、高校の方に残る可能性が強そうだ。それにしても、全国制覇の翌年に本人からの希望でない形での退任というのは、あまり前例がないので我々にとっても驚きと衝撃だった。
今週のエンドメッセージ
今年は例年よりも1週間早く東西東京大会が3日の合同開会式でスタートしました。4日に何試合かを実施した後、約1週間空いて9日から本格的スタートということになります。また、福島、埼玉なども9日から始まり、その週末からはいよいよ全国各地で本格的に大会に入っていきます。
この時期、いつも青春プレイバックを実感する季節でもありますが、グラウンドでもスタンドでもはじける高校生の若さがまぶしく感じられます。この子たちが、既に自分の娘よりもはるかに年下になってしまっていると思うと、自分の加齢に少し哀しい気持ちにもなる季節でもあります。
|